中国、マドゥロ政権に不可欠なパートナー(AFP=時事)
だが、米国の軍事作戦によってマドゥロ氏が排除され、ドナルド・トランプ米大統領がベネズエラの老朽化した原油生産施設の接収を表明したことで、中国がベネズエラにおける利権を維持できるかは不透明になっている。
データ分析企業ケプラーがまとめたデータによると、中国のベネズエラ産原油輸入量は昨年、1日当たり約40万バレルに上った。
これは、ベネズエラの原油輸出量の半分以上に当たる。
中国に輸出されるベネズエラ産原油の多くは米国の厳しい制裁を回避するため、マレーシア沖合での海上で積み荷を移し替える「瀬取り」や、第三国での積み替えを経て、中国に到着している。
中国への原油輸出は、外では米国が圧力を強め、内では国民の不満が高まる中で、マドゥロ政権の生命線となってきた。
ベネズエラ産原油は粘度が高く重質、酸性、そして硫黄分が多いため、精製に通常よりも手間やコストがかかる。
中国でのベネズエラ産原油の精製は、主に東部沿岸部に集中している「ティーポット」と呼ばれる小規模な独立系製油所で行われている。
国有の大手製油所とは対照的に、ティーポットは利益追求型の組織であり、ベネズエラやイランなどの制裁対象となっている国産の割安な原油の主な買い手となっている。
ベネズエラ産原油は、中国の国内エネルギー生産に貢献するだけでなく、道路舗装や建物の屋根材に使用されるアスファルトの原料としても使われている。
中国は自国のエネルギー安全保障を確保するため、特定の国への依存を減らし、調達先を多様な国に分散させている。
推計によると、ベネズエラ産が中国の原油輸入量に占める割合はわずかにすぎず、2025年は4~5%だった。
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中国政府は数十年にわたってベネズエラの開発プロジェクトに巨額の融資をしており、ベネズエラ産原油はその代物弁済として輸出されている。
コロンビア大学世界エネルギー政策センターによると、中国のベネズエラへの融資額は2023年までに計約600億ドル(約9兆4600億円)に達した。中国がベネズエラで抱える未払い債権は約100億ドル(約1兆5800億円)に上る。
ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、ダン・ワン氏はAFPの取材に対し、習近平国家主席の巨大経済圏構想「一帯一路」に言及し、「中国はベネズエラを含む中南米が一帯一路構想の重要な結節点となることを期待している」と指摘。
中国は「グローバル・サウスの結集」を目指し、ベネズエラを含む中南米の「いくつかの友好国」との関係で「大きな進展」を遂げてきたという。
米国の軍事介入を受けて、近い将来、中国がベネズエラ産原油を輸入するのは難しくなる可能性が高い。
だが、マドゥロ氏を排除した直後、トランプ氏は、崩壊しつつあるベネズエラの石油産業を再建した後、米石油大手は最終的にベネズエラ産原油を世界中の買い手に販売するだろうと述べた。その中には、「現在、ベネズエラ産原油を使用している買い手の多くも」含まれるという。
だが、ワン氏は、中国はベネズエラに代わる原油調達先を容易に見つけることができる可能性もあると指摘。
昨年の中国の原油輸入量で、ロシア産とサウジアラビア産はベネズエラ産をはるかに上回った。
だが、石油輸出国機構(OPEC)によると、ベネズエラの原油確認埋蔵量は世界最大の3032億バレルで、サウジアラビアやイランを上回っている。
ワン氏は、長期的には中国がベネズエラ産原油の輸入を継続するとの見解を示し、トランプ氏は「ディール(取引)を望んでいる」と述べた。
中国外務省は、トランプ氏によるマドゥロ氏排除について、「国際関係の基本的規範」の「明白な違反」だと強く非難した。
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厳しい言葉が飛び交っているにもかかわらず、専門家は米中関係における根本的な利益と課題は変わっていないと指摘している。
習氏は、4月に予定されているトランプ氏の中国公式訪問に向けて準備を進めている。
ワン氏は、「双方は会談の実現に向けて十分な努力を払ってきた」と語り、米国のベネズエラでの最近の動きがトランプ氏の中国公式訪問の見通しを買えるとは思わないと付け加えた。
だが、評論家たち、そしてトランプ氏自身も、米国が欧州の政治に干渉しない代わりに、欧州列強も米州に干渉するなという相互不干渉と、米国こそが西半球(米州)の守護者・決定者であるという「モンロー主義」の復活というレンズを通して、米国の政策を捉えるようになっている。
「トランプ大統領の下では、中南米における中国の政治的影響力は確実に低下するだろう」とワン氏は述べた。【翻訳編集】 AFPBB News