日本国旗損壊罪法案 産読は「国の象徴」守る意義訴え 表現の自由への懸念示す朝毎東
自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党の4党が共同提出した日本国旗損壊罪法案が国会で審議されている。法案は「人に著しく不快または嫌悪の情を催させる方法で公然と損壊、除去、汚損した者は2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金に処する」と規定した。産経と読売は国の象徴である日本国旗を守る必要性を訴え、法案に理解を示した。朝日、毎日は憲法が保障する「表現の自由」への侵害を懸念し反対した。
同法案について産経は「日の丸は国家と国民統合の象徴である。それを保護し、日本の威信と尊厳を守りたいというのは国民の常識に沿っている。今国会で成立させるべきだ」と訴えた。
読売も「国旗はその国の象徴である。どの国であっても敬意を払い、大切に取り扱うのは自然だ」とした。
一方、朝日は「必要性がなく、弊害が大きい。提案する論理に一貫性もない。法案に強く反対する」と主張した。その上で国旗の損壊行為について、「刑罰で抑え込もうとするのは、憲法が保障する表現の自由や思想・良心の自由の重みに照らしてまっとうなことではない」と説いた。
毎日も「必要性は認められない。人々を萎縮させ、息苦しい社会を招くだけの法案に反対する」とし、「憲法21条が保障する表現の自由を侵害する恐れが強い」「人の行動は内心の発露だ。憲法19条が保障する思想・良心の自由にも関わる」と論難した。
東京も「表現の自由を侵害しかねない内容だ」「国家に批判的な人びとの表現行為を封殺しかねない」と案じた。
だが、憲法は「自由」を無制限に保障しているわけではない。産経は「憲法は『自由及(およ)び権利』は濫用(らんよう)してはならず、公共の福祉のために利用する責任があると定めている。国旗の損壊は社会の秩序を乱し、公共の福祉に明確に反する」と論じた。
刑法には「外国国章損壊罪」があり、外国を侮辱する目的で外国の国旗を損壊すれば処罰対象となる。
外国国旗の損壊は、その当該国の尊厳を傷つけ、国民感情を悪化させて外交に悪影響を及ぼすからだ。
毎日が同罪は「外交関係への悪影響を防ぐことが目的であり、(日本国旗とは)同列には論じられない」と主張したのに対し、産経は外国国旗への扱いと同様に「日の丸を大切に思う日本国民の気持ちや日本の尊厳を守るべきだ」と訴えた。
読売も「外国の国旗と同様に、自国の国旗を損壊した場合も、罰則を設けるのは妥当」とした。
日本国旗損壊罪法案は審議入り前に修正された。国民民主の要求を踏まえ、損壊する場面を撮影し、その映像をSNSなどで事後配信する行為を禁じる条文を削除した。ただし、損壊している様子のライブ配信は処罰対象になる。
参政が問題視していた、バツ印をつけた日の丸を街頭で振る行為も処罰対象にならなかった。法施行後3年をめどに見直しを検討することを付則に記し、参政は同法案の共同提出に加わった。
朝日は処罰対象について「捜査当局は何を基準にどう判断するのか。あいまいで不明確な法は恣意(しい)的な運用を許す」と憂慮した。毎日も「不快や嫌悪を与えたら処罰されるという要件も極めて曖昧だ。感情の程度は人によって異なる」と難じた。
読売は「恣意(しい)的な運用が行われないように、具体的な違反事例をできるだけ丁寧に示す必要がある。成立後は慎重な運用も欠かせない」と注文をつけた。
産経は国民民主や参政との修正協議を通じ、処罰対象の範囲が狭まったことを問題視する。同法案は「公然と」損壊することを犯罪の構成要件にしているため抑制的だ。産経は「『公然と』を要件とせず、より広く尊厳を守れる外国国章損壊罪とバランスを失している。これでいいのか」と早期の見直しを求めた。
日の丸をめぐっては、同法案のみならず国旗国歌法でも尊重義務を定めていない。自民が平成24年に党議決定した「日本国憲法改正草案」にあるように、尊重義務を憲法で規定することが必要だ。日本国旗損壊罪法案の成立をその第一歩にしたい。(坂井広志)
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日本国旗損壊罪法案をめぐる主な社説
【産経】
・成立で日の丸の尊厳守れ(6月25日付)
【朝日】
・予防的立法のあやうさ(30日付)
・不要な立法自由を侵す(21日付)
【毎日】
・息苦しさ生む規制不要だ(22日付)
【読売】
・敬意を払って大切に扱いたい(19日付)
【東京】
・表現の自由を奪うのか(5月27日付)