宇宙に1カ月でも滞在すると、寿命が縮む?(ギズモード・ジャパン)

老化の謎解明にも…? 人類は地球を飛び出し、宇宙空間で生活できる環境が、技術的には整いつつあります。でも、それに伴うリスクがあるとも指摘されてきました。残念なことに、懸念が現実のものとなりました。

このほど科学ジャーナルの「Cell Stem Cell」では、宇宙空間における滞在が造血幹前駆細胞(HSPC)に与える影響を調査した研究論文が発表されました。NASAならびにSpace Tangoの提携により、国際宇宙ステーション(ISS)へと、幹細胞の変異をチェックできる超小型の3Dバイオセンシング装置を配備。主にHSPCが、地球外の環境で、どんなふうに変わっていくのかが調べられました。 その結果、宇宙空間に滞在して、わずか32日という短期間でも、HSPCの異常な活性化や細胞内エネルギーの急速な燃焼を観察。これにより、造血や再生能力が衰退するほか、DNAの損傷、テロメアの短縮といったダメージが生じ、免疫の低下や分子レベルで老化の進行が見られて、寿命が縮まる恐れがあったのだとか!

宇宙空間での機能損壊が判明したHSPCですが、どうやら地球へ戻ってくると、一部の機能は回復することもわかったようです。とはいえ、地球外の苛酷な環境での滞在が延びれば延びるほど、その回復にも限界がある模様。火星への移住を目指すには、なんとも大きなハードルとなりそうですよね。 HSPCの変異を解明することは、宇宙飛行士の長期間におよぶミッションを支えるうえで役立つのみならず、地球上における人間の老化やがんなどの病気のメカニズムへ理解を深めることにもつながると期待している。 Sanford Stem Cell Instituteで所長を務めるCatriona Jamieson教授は、今回の論文発表に際し、このようにコメントしました。今後もISSでの調査を継続し、さらなる研究が進められていくそうです。 宇宙空間ならびに地球上でも、老化の予防や免疫力の向上など、若返りにさえつながる発見がなされたりすれば最高ですね~。 Source: Cell Stem Cell

湯木進悟

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