なぜ今トランプ政権は眼前の脅威といえないイランに核協議を要求し、軍事攻撃まで警告したか #エキスパートトピ

【資料】米海軍の原子力空母エイブラハム・リンカーン(2019.4.13)。イラン情勢の緊迫化にともない、同艦を中心とする空母攻撃群を中東方面に展開していると米中央軍は明らかにした。(提供:Mass Communication Specialist 2nd Class Clint Davis/U.S. Navy/ロイター/アフロ)

米トランプ大統領は1月28日、核合意をめぐる交渉再開をイランに要求し、応じないなら攻撃もあり得ると警告した。

米国は昨年6月、イスラエルとイランの12日間戦争の最中にイラン核施設を急襲した。

今回トランプは「次の攻撃ははるかに甚大なも​のになる」と述べ、ベネズエラでの作戦を上回る規模とも威嚇している。

イランではインフレなどを背景に抗議活動が拡大していて、トランプは1月初旬デモ弾圧を理由に攻撃を示唆したが、その後撤回した。

米国はなぜ今このタイミングで圧力を強めるのか。そこにはトランプ自身の都合がうかがえる。

ココがポイント

米中央軍は26日、空母エーブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群が中東に展開したと明らかにした。出典:毎日新聞 2026/1/28(水)

イランの最高指導者ハメネイ師の顧問アリ・シャムハニ氏はXへの投稿で(中略)軍事行動を支援する国を標的にするとけん制した。出典:ロイター 2026/1/29(木)

(前略)エクソンモービルのトップが現状ではベネズエラは「投資不可能」だと述べるなど、米石油大手幹部らは慎重な姿勢(後略)出典:Bloomberg 2026/1/10(土)

コアなトランプ支持者が国内問題を重視(中略)するのに対して、ネオコンは(中略)イラン攻撃の重要性を主張する。出典:六辻彰二 2025/6/22(日)

エキスパートの補足・見解

イラン核開発は長年の懸案だが、米国の眼前の脅威ではない。

トランプ自身、昨年6月の攻撃でイランの核開発能力に大損害を与えたと胸を張った。その際、貯蔵されていたウランの多くは破壊を免れたとみられるが、それでも濃縮程度はまだ途上で、おまけに米国を射程に収めるミサイルもない。

実際トランプもその後、核協議に大した関心を払わなかった。イランのアラグチ外相は米国の窓口であるウィットコフ特使としばらく連絡がないと述べている。

とすると「核協議」は看板に過ぎないとみてよい。

現在のトランプ政権は各方面で手詰まり感が漂う。

ベネズエラでは米国石油大手が投資に慎重で、肝心の石油の利益の早期確保は困難だ。グリーンランドを巡っては欧州の強い反発を受け、関税引き上げの脅しも尻すぼみだ。

一方、国内ではインフレなどで支持率が低下し続けている。

この観点から昨年6月のイラン攻撃をみると、対テロ戦争を牽引した保守強硬派(いわゆるネオコン)だけでなく、空爆のみに止めることで「米国第一」のトランプ支持者も惹きつける効果があった。

トランプが「二匹目のドジョウ」を狙うなら、共和党支持者にアピール効果が高く、しかし限定的な攻撃に踏み切る公算が高いといえる。

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