Amazon、リストラはAIのせいじゃなくて「企業文化」
言い方、あくまで「文化」だからね。
Amazonが第3四半期の決算を発表しましたが、先日の人員削減にもかかわらず非常に好調な四半期となりました。9月30日までの3か月間の売上高は1802億ドル(約27兆3000億円)に達し、前年同期比で13%増加。クラウド事業であるAWSは、2022年以来最大となる前年比20%増の330億ドル(約5兆800億円)を記録しています。決算発表後、Amazonの株価は時間外取引で13%も上昇しました。
業績が好調なのに、なぜ1万4000人も従業員を解雇して、さらに今後も追加の解雇があると言っているのでしょうか。
削減にAIは関係ない⁉︎
CEOのアンディ・ジャシー氏は決算説明会で、この人員削減についてコメントを求められ、
数日前に発表した件は、財務的な理由によるものではなく、また現時点ではAIによるものでもありません。削減は”文化”によるものです。
とジャシー氏はAIのせいではないことを強調する説明をしています。
ジャシー氏はさらに、ここ数年の急速な成長によって、組織内に人員や階層、業務の複雑さが増した結果、意思決定のスピードが遅くなり、現場の従業員の主体性が弱まったと述べました。
ジャシー氏は、現在Amazonが世界最大のスタートアップ企業として、技術革新が進行する中でより迅速に動けるような体制を目指していると語っています。
でも解雇のメッセージにはAIって書いてあるような?
今週初めに解雇対象の社員に送られた社内メッセージでも、この点が強調されていました。ただメッセージ内では大きな技術変革として「AI」に直接的に触れられていました。
Amazonの人材・テクノロジー部門のBeth Galetti氏は以下のように書いています。
このAIという世代はインターネット以来の革新な技術であり、企業がかつてないスピードでイノベーションを起こすことを可能にしています。私たちはよりスリムで階層の少ない組織構造を持ち、そして顧客とビジネスのためにできる限り迅速に動く必要があると信じています。
とはいえ、今回の人員削減はAmazonを始めとするテック企業がAIに全てを賭けているようなタイミングで行なわれています。
ジャシー氏は、AmazonのAIおよびクラウドインフラ部門が過去12か月で3.8ギガワット以上の電力容量を追加し、第4四半期にはさらに1ギガワットを追加する見込みであるとも述べています。
この先も解雇あり
さらに、今後の削減はデスクワーク系に以外にも及んできそうです。ニューヨーク・タイムズによると、Amazonの自動化チームは、2027年までに通常であれば雇用する必要があった16万人以上のアメリカ人労働者の採用を回避できると予測しています。また同紙が入手した内部資料によると、Amazonのロボティクスチームは最終的に業務の75%を自動化することを目標に掲げているとのことです。