富士急行の新型船「金波銀波(きんぱぎんぱ)」に乗ってきたぞ! ファミリー層への配慮が手厚いデザイン
2025年7月12日から、熱海~初島航路に「金波銀波(きんぱぎんぱ)」という新しい船が就航! これに伴い、航路の名も初島リゾートラインになったもよう。
実は私の元に、11日に報道関係者向けにお披露目会をするという案内が富士急から届いていた。本船のデザインは、川西康之氏……広島で乗って神だった「SEA SPICA (シースピカ)」の人じゃないか! これは乗るしかねぇ……!!
・熱海
ということでやってきました、熱海港! 待合所前には就航を告げる看板が出ていた。
そして港には、すでに待機していた「金波銀波」。初島の岩石をイメージしたグレーと、熱海が国内のレモン発祥の地ということで、レモン由来の黄色の船体。
「金波銀波」は、日や月に照らされた波のきらめきを意味する。大きく漢字四文字が書かれているのは、なんだか強そうだ。
外から見た感じ、とても窓が多い。中からの眺めの良さは約束されている。中にアスレチックみたいなのが見えるぞ……。乗り込んで、詳しく見ていこう。
・デザイン
船内の見取り図はこんな感じ。なるほど、地階から3階の、全4階層になっているのか。
上から順に攻めていこう。ここが展望デッキ。上の図だと遊歩甲板天蓋にあたる。
人工芝が敷かれており、中央にユニバーサルデザインの円形のベンチが設置されている。なんか面白い形状だ。触ると弾力がある。
この日は曇り気味だったが、晴れていれば洋上での眺めも良いことだろう。陸を見下ろすとこんな感じ。
・2階
ここから1階下がって遊歩甲板へ。外からアスレチックみたいなものが見えたエリアだ。その正体は、竹馬風ベンチだそう。
両サイドの壁のほぼ全面が窓になっており、小さいキッズでもダイナミックな景色を楽しめるデザイン。竹馬風ベンチの高い所の板は大人がちょっとしたカウンタ―のように使えて、低い所はキッズも座りやすいということか……!
船尾側は解放されており、風を感じられる。
そしてやってきた、上甲板の1階客室。広い通路と広い窓で解放感がある。両サイドには、こんな感じの2人掛けのシート。テーブルもついている。
そして中央部分には、こんな感じの半個室風のシート。ここのシートはけっこう広く、大人が座っても背もたれまでにちょっとしたスペースがあり、大きな荷物も置ける。
我々と共に乗船していた川西氏によると、まだ歩けないくらいの幼児などは、この背もたれと、座った大人の間のスペースで安全に這わせるなども可能だそう。
売店もあるぞ! ここではお菓子やアイス、伊豆限定の「伊豆LEMON BEER」などの取り扱いがある。ビールは今飲むとここから先の写真が全てブレてしまうので、後程レビューしよう。
上甲板前方にはスペシャルな貸切エリアも存在する。「特別船室 ~金富士~」だ……!
貸切で最大8名まで利用できる、ラグジュアリーなプライベート空間。
初島から熱海への航路では、正面に富士山が見えるそう。
・地階
一番下、地階はこんな感じの空間。
両サイドはカウンター席で、USB電源が完備されている。
靴を脱いであがるスペースもある。
・初島へ
そんな感じで船内の各エリアを巡回していたら、あっという間に初島へ到着してしまった。実のところ、熱海から初島までは30分しかかからない。
船内各所のデザインは独自性があり、非常に興味深い。色使いや各所の細かいデザインが好奇心を刺激するので、初乗船ではとりあえず誰もが見て回るはず。
そしてうろつくのに飽きたり、何度も利用して今さら見て回るも何もないなら、売店で何か買ってスマホを充電しながら弄っていればいいわけだ。
通路やシートが広めなところも好感度が高い。つまり一番重要な快適さも間違いなく確保されているということ。
キッズなどは、例の竹馬ベンチや展望デッキではしゃいでいる間に到着するのではないか。そう長くない就航時間に対し、船内のデザインのもたらす楽しさや快適さは十二分だ。
トータルでは、とにかくファミリー向けへの配慮が手厚い印象。富士急行からの、夏休みは家族で初島へ……というメッセージかもしれない。首都圏から最も近い離島で過ごす夏、いいんじゃないでしょうか。
参考リンク:初島リゾートライン 執筆:江川資具 Photo:RocketNews24.
▼あらためて、こちらがデザイナーの川西康之氏。
▼これが船内でも売られる伊豆レモンビール。製造する宇佐美麦酒の加藤代表も乗船していた。
▼もう一番重要な船の紹介は終えたので、写真がブレてもそう問題はないはず。飲んでみよう。おぉ、苦みがフルーティだ。軽い口当たりで、3%という低い度数も飲みやすさを加速させるぞ! 夏の海に似合うビールだと思う。
▼行きも帰りも、常に本土と初島が見えている状態なので、そんなに周囲の風景は変わらない。しかしこの日は、遠くに掃海艦「あわじ」が見えた。掃海艇「はつしま」が見えたらドラマチックだったが、そう上手い話は無いもよう。
▼初島で何をするのか? そこは富士急グループが運営するリゾート施設「PICA初島」に泊まって遊ぶに決まっているだろう……!
▼ちょうど、敷地内のリュウゼツランが咲きそうとのことだった。葉に模様が無い。これはアオノリュウゼツランだろうか。
▼蕾ができている。こいつは2週間前後で咲く気がする。この他にも島内の何ヵ所かで、蕾が膨らんだ状態のものが見受けられた。これからどんどん咲いていくのだろう。
▼グランピング施設がある。
▼レストランではBBQや、レモンを使ったオリジナルメニューも。
▼富士急は島でのレモンの栽培に力を入れているようで、そこかしこにレモンが植えられていた。
▼黒く巨大な蝶が大量に飛び交っていた。モンキアゲハが特に目立ち、他はナガサキアゲハとカラスアゲハだろうか。とにかく黒い蝶がいっぱいいるぞ!
▼島唯一の神社「初木神社」。祀っているのは大綿津見神、豊玉毘売、そして初木姫……初木姫とはどなたですか?
▼彼女は初島在住者ではなく、弥生時代に島に漂着した遭難者らしい。島から本土までの約10㎞を、筏を作って自力で戻ったもよう。萩を編んだ船で。たいしたものだ。
▼「金波銀波」の男子トイレ。私はトイレも重視する。エアコンが付いているのは好感度高い。女子トイレの仕様は不明。