みんなで掲げた合言葉は「この大会を通じて成長しよう」!帝京長岡は昌平とのプレミア勢対決を1
[1.2 選手権3回戦 帝京長岡高 1-0 昌平高 浦和駒場] 「フルさん(古沢徹監督)が特に『この大会を通じて成長しよう』ということを言ってくれていて、自分たちも同じことをミーティングで話してきたので、そこが今は凄く良い形で結果に出ていますし、選手権での1試合1試合が終わるたびに成長はしているのかなと思います」(帝京長岡高・西馬礼) 【写真】「芸能人より美しい」「たまらん」なでしこ清水梨紗が元日向坂46メンバーとXmas2ショット 攻撃力抜群の相手に、粘って、粘って、ウノゼロ勝利!第104回全国高校サッカー選手権は2日、各地で3回戦を行い、浦和駒場スタジアムの第2試合では帝京長岡高(新潟)が、昌平高(埼玉)とのプレミア勢対決に1-0で競り勝って、5年ぶりのベスト8進出を決めた。4日の準々決勝ではインターハイで敗れている尚志高(福島)と対戦する。 帝京長岡は3-5-2のシステムを採用。GKは仲七璃(2年)、3バックは右からDF吉田龍悟(2年)、DF西馬礼(3年)、DF桑原脩斗(3年)が入り、中盤はアンカーにMF茂木勇樹(3年)を、インサイドハーフにMF中澤昊介(3年)とMF樋口汐音(3年)を配置。ウイングバックは右にMF稲垣純(3年)、左にMF水澤那月(3年)が入り、2トップにはFW上田十輝(3年)とFW杉本鎌矢(3年)が並ぶ。 一方の昌平は4-2-3-1の布陣を敷く。GKは小野寺太郎(3年)、最終ラインにはU-16日本代表のDF笠原慶多(1年)、DF高橋心晴(3年)、DF伊藤隆寛(3年)、DF古川雄規(2年)の4人が揃う。ドイスボランチはMF工藤敦士(2年)とMF屋宜葵(1年)、2列目は右にMF飯島碧大(2年)、左にMF長璃喜(3年/川崎内定)、中央にMF山口豪太(3年/湘南内定)が並び、最前線にはU-16日本代表FW立野京弥(1年)が構える。 2回戦の高川学園高戦では、後半アディショナルタイムに2点のビハインドを追い付き、PK戦でこのラウンドへと奇跡的に勝ち上がってきた帝京長岡は、立ち上がりからその勢いを継続。前半6分に上田、杉本とパスを繋ぎ、左に流れた樋口のシュートは昌平GK小野寺がファインセーブで凌ぐも、いきなり決定機を創出すると、12分にも中盤でボールを奪った樋口はそのままフィニッシュ。軌道は枠を越えたものの、得点への強い意欲を打ち出す。 すると15分に輝いたのは、やはり帝京長岡の20番。右サイドで中澤の高速パスを受けた稲垣は、「1,2回戦は縦に行けなかったので、自分の中ではしっかりクロスを上げ切ろうと思っていた」と縦に運んでクロス。粘って収めた樋口が右足を振り切ると、DFに当たってコースが変わった軌道は、ゆっくりとゴールネットへ吸い込まれる。「彼は今乗っている状況ではあると思いますね」と古沢徹監督も言及した樋口が、この日早くも3本目のシュートで先制弾。帝京長岡が試合を動かす。 ビハインドを負った昌平も、ボランチの工藤と屋宜に加え、飯島もよくボールに関わって、パスで動かしながらテンポアップの瞬間を狙うものの、頼みの長には稲垣をマンマーク気味に対応させ、空いた右サイドのスペースは前線から杉本が戻って埋める帝京長岡の堅い守備の前に、なかなかチャンスらしいチャンスを作り切れない。 40+2分にはようやく昌平に好機到来。右サイドから飯島が上げ切ったクロスに、飛び込んだ山口のダイビングヘッドは、しかしゴール右へ。最初の40分間は帝京長岡が1点をリードして、後半に折り返す。 ハーフタイムに動いたのは帝京長岡。「もう1つ攻撃にアクセントをというところを考えていました」という古沢監督は、MF和食陽向(2年)とU-16日本代表のFW児山雅稀(1年)を同時に送り込み、果敢に2点目を狙う采配を振るう。 それでも追い掛ける昌平は、後半に入ると一段階アクセルを踏み込む。3分には工藤が浮き球のパスを前方へ送り、こぼれを拾った山口のシュートはクロスバーの上に消えるも、4分にも中央をドリブルで切り裂いた山口は右足で枠内シュート。ここは仲にキャッチされたものの、背番号10が勝利への強い想いを2つのフィニッシュに滲ませる。 芦田徹監督も11分にはMF人見大地(2年)をボランチの一角に投入し、推進力向上に着手。14分には長のパスから、山口が右足で狙ったミドルは仲がキャッチ。直後には人見が相手陣内でボールを奪い、そのまま仕掛けるも、西馬がいち早くタックルで危機回避。16分にも飯島が左から打ったシュートは、吉田が身体でブロック。帝京長岡は「とにかくダブルチームで守備の数的優位を作り続けて、奪った瞬間に前にというようなところをチームとして設定していました」と指揮官も話した戦い方を徹底し、時計の針を着実に進めていく。 21分は帝京長岡に決定機。樋口からのパスを中央で引き出した和食は、アイデアあふれるループシュートを繰り出すも、わずかに枠の右へ外れると、ここからMF内田昊(3年)とMF秋山陽登(2年)を交代で送り出し、攻守の運動量を担保しに掛かる。 23分に1トップを立野からFW齋藤結斗(3年)に入れ替え、前の選手たちも流動的に動き回る昌平は、32分に左サイドでボールを持った長が一気に加速して、右に流れながらシュートを枠へ飛ばすも、仲が確実にキャッチ。さらに34分にはFW島田大雅(2年)もピッチに解き放ち、とにかく窺い続ける同点とその先。 40分は昌平。センターバックの伊藤がインターセプトからそのまま前に持ち出し、島田と齋藤が細かく動かしたパスから、人見が抜け出しかけるも、ドリブルが1つ大きくなってしまい、飛び出した仲が気合のキャッチ。帝京長岡は40+1分にMF霧生海伊(2年)を5枚目のカードとして切り、ゲームクローズに着手する。 40+2分は昌平。笠原からボールを引き出した長は、ペナルティエリア外から右足一閃。枠を襲ったシュートは、しかし仲がファインセーブで仁王立ち。直後に山口が右から蹴り込んだCKはファーまで届くも、懸命に飛び付いた伊藤は触り切れない。 そして、3分のアディショナルタイムが過ぎ去ると、タイムアップのホイッスルが鳴り響く。「今年のこの子たちらしい勝ち方というか、最後の最後まで気持ちを切らすことなく、一生懸命失点ゼロで抑えることのできた勝利かなと思います」(古沢監督)。帝京長岡が白熱のプレミア勢対決をウノゼロで制して、準々決勝へと勝ち上がる結果となった。 長と山口のJ内定コンビを筆頭に、強烈なアタッカー陣が居並ぶ昌平に完封勝利を収めた帝京長岡だったが、やはり身を置いている日常で積み重ねた経験値は、この晴れ舞台でも存分に生かされているようだ。 「プレミアでずっと日本のトップトップの選手たちとやってきた経験があるので、そういったところでどんな相手とやっても、あまり強さは変わらないかなと思っていましたし、守備でずっと集中しながら声を掛け合えたことが、今日の勝利の要因かなと思います」(西馬) 「去年からプレミアに参戦させていただいて、2種登録しているプロのアタッカーの選手たちと対戦する中で、一瞬でも気を抜いたら、形のないところから失点というシーンが常にあったので、日ごろのトレーニングと日ごろの試合の強度というところで、選手たちが築き上げていった守備の形や、守備の集中力に関しては満足行っています」(古沢監督) 加えてタスクの遂行能力の高い選手が揃っているのも、今季のチームの大きな強み。今大会でも屈指のアタッカーと言っていい長相手に、マンツーマンでマークに当たった稲垣は、「長選手はとにかくスピードがあって、ボールを持ったら、パスを出された後にマークを外されることがあると思ったので、そこには気を付けて守備していました」とのこと。この人が相手エースから自由を奪い、チャンスを作らせなかったことは、この日の勝利を振り返るうえでも語り落とせない。 準々決勝で対戦する尚志高には、インターハイでも同じ準々決勝で対戦し、その時はスコアレスで突入したPK戦の末に敗れているだけに、リベンジの舞台は整ったと言っていいだろう。 「夏はベスト8で尚志高校さんに0-0で、点を獲れずに負けたので、さっき選手には『もう0-0はつまらないからね』と(笑)。『必ず勝って、国立に行こう』という話をさせてもらいました。我々は点を獲るために守備をしているわけで、やはり0-0というところは望んでいない形なので、もちろん守備でリズムは作りますけど、常に得点を狙いながら攻撃して、何とかベスト4に行きたいと思います」(古沢監督) 5年ぶりとなる、冬の全国8強のその先へ。苦しい時間も、楽しい時間も、全員でもがき、全員で積み上げてきた、2025年の集大成。ここまでの3試合でも着実に成長を続け、間違いなくシーズンのピークを迎えつつある帝京長岡の進撃は、果たしてどこまで。 (取材・文 土屋雅史)