リスクはチャンス ― 角田裕毅「好感触」を以てブラジルへ、“感情の地”で連覇狙うフェルスタッペン

2025年F1第21戦サンパウロGPの開幕を前に、レッドブルの両ドライバーが意気込みを語った。マックス・フェルスタッペンは、昨年17番手から逆転勝利を飾った「感情的な地」で連覇を狙う。一方、角田裕毅は好調なレースペースへの手応えを背景に、来季シート確保の正念場に向け、課題克服とチームへの貢献を誓った。

フェルスタッペン「感情的な勝利」の地で連覇へ

事実上の義父であるネルソン・ピケの母国ブラジルは、フェルスタッペンにとって特別な意味を持つサーキットだ。

「ブラジルは僕にとって特別な場所なんだ。信じられないようなレースや素晴らしい瞬間をたくさん経験してきたし、僕の義理の家族もブラジル出身だからね」とフェルスタッペンは語る。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

リスタートでレースリーダーのエステバン・オコン(アルピーヌA524ルノー)を追い抜くマックス・フェルスタッペン(レッドブルRB20)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)

特に印象深いのは、昨年のドラマチックなレースだ。予選17番手からスタートし、雨に翻弄される展開を制して大逆転優勝。これは2005年の鈴鹿F1日本GPでキミ・ライコネンが成し遂げて以来、最も後方グリッドからの勝利だった。

「ここでは激しい雨の影響で、かなりクレイジーなレースになることもある。特に去年は予選17番手から優勝した。あれは感情的な勝利になったし、チャンピオンシップ争いにおいても重要なレースになった」

レッドブルは2005年のF1デビュー以来、インテルラゴスで通算7勝を挙げており、サーキットとの相性は抜群だ。特にフェルスタッペンは2019年を皮切りに、ホンダ・パワーユニット勢の勝利を牽引してきた。

逆転のタイトル5連覇に向けフェルスタッペンは今週末、スペシャルヘルメットを持ち込み、情熱的なブラジル人ファンの前で再び歴史にその名を刻む決意だ。

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新しいヘルメットデザインを披露するマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年10月28日(火) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)

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2025年F1サンパウロGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が着用する特別仕様のヘルメット、2025年10月15日(水)

今季5回目となるスプリント・フォーマットが採用されるだけでなく、さらに降雨の予報もあり、今週末のインテルラゴス・サーキットは例年通り不確定要素に満ちている。

角田は、わずか60分のフリープラクティスと、それに続く2度の予選(スプリント予選と公式予選)が週末の鍵を握ると分析する。

「天候次第で何が起こるか分からず、ブラジルは毎年、エキサイティングなレースになります。今週末も雨が影響する可能性がありますが、それは誰にとっても同じなので、走行時間を最大限に活かし、チームとして対応できるかが重要です」

「スプリントフォーマットには常に特有の難しさがありますが、そこに雨が加われば、とんでもない週末になるかもしれませんね!」

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パルクフェルメを歩く7位の角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)

不確定要素を”リスク”ではなく”チャンス”と捉える角田の自信の裏には、直近の週末でのレースペースに対する手応えがある。前戦メキシコGPでは11位に終わったものの、ピットストップトラブルがなければ入賞は固かった。

「ここ2戦、レースペースに関してクルマに良い感触が持てているのは僕にとってプラスです」と角田は語る。

「マックスにかなり近いラップを刻めていますし、クルマとアップデートにも自信を持てています。2回の予選セッションを通して安定した走りができれば、スプリントでも決勝でも上位争いができる良いポジションに着けると思います」

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パルクフェルメで写真撮影に応じるポールポジションのランド・ノリス(マクラーレン)、2位のジョージ・ラッセル(メルセデス)、3位の角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP予選(インテルラゴス・サーキット)

昨年、角田は雨のインテルラゴスでキャリア最高位となる予選3番手を記録し、日本人ドライバー史上3人目の快挙を達成した。不確実な天候こそ、角田の才能が輝くチャンス――選手権争いでの貢献を通して、シート確保の足がかりを固めたいところだ。

「今週末はポイントを獲得し、コンストラクターズ選手権でチームに貢献すること、そして可能な限りマックスをサポートすることが重要です」と角田は締め括った。

直近6戦はすべてポール・トゥ・ウィンの完勝劇となっており、予選結果が決勝結果を左右する展開が続いている。伝統の舞台インテルラゴスで、レッドブルは再びその強さを誇示するのか、それとも新たな波乱が待ち受けるのか──週末の空模様とともに、角田の走りとタイトル争いへの注目が高まる。

インテルラゴス・サーキットで行われた2024年F1サンパウロGPでは、17番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が後続に19.477秒の大差をつけ、6月のスペインGP以来となる11戦ぶりの勝利を飾る結果となった。

F1サンパウロGPは日本時間11月7日(金)23時30分からのフリー走行1で幕を開ける。予選と決勝を含めた全セッションはDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

F1サンパウロGP特集

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