EU、米国と15%の関税率で合意に向け前進-外交筋
欧州連合(EU)と米国は、米国が輸入する大半のEU製品に15%の関税を課す内容で合意に向けて前進している。交渉状況について説明を受けた複数の外交筋が明らかにした。
この外交筋によると、EU加盟国は15%の一律関税を受け入れる用意があり、この関税率が自動車などのセクターに適用されるようEU当局者は働き掛けている。一定量を超える鉄鋼やアルミニウムには、50%の関税が課されることになりそうだという。
EU側は合意成立を楽観しているが、最終的な合意にはトランプ米大統領の承認が必要で、同氏の判断は予測が難しいため、慎重な姿勢も維持している。
これに先立ち、関税率15%で米欧が合意に近づいていると英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は報じた。
だが、交渉はなお流動的で、相対的に近づいているということで発表が差し迫っているということではないかもしれないと、当局者はくぎを刺した。
トランプ氏が世界各地の貿易相手国に相次ぎ関税を打ち出す中で、EUと米国は全面的な貿易戦争を回避しようとここ数週間、交渉を加速させている。交渉担当者のレベルでは2週間前に合意に近づいていたが、8月1日までに合意できなければEUから輸入する大半の製品に30%の関税を課すとトランプ氏が述べたことで、交渉は停滞した。
この期限までに合意が成立せず、トランプ氏が30%関税の脅しを実行に移す場合に備え、EUは対抗措置の準備も続けている。
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協議に上っている15%の一律関税には最恵国待遇の税率も含まれている。EUと米国の貿易における同税率の現在の平均は4.8%であるため、15%なら現状から10%の上乗せとなる。製薬や半導体などのセクターにも、同じ関税率が適用される見込みだと、関係者は述べた。
一方、航空関連や一部の医療機器、後発医薬品、いくつかの蒸留酒、米国が必要とする特定の製造装置などは、一律関税を一部免れる可能性があると、ブルームバーグはこれまでに報じた。
EUはまた、製薬や半導体など将来的な賦課を米国が検討しているセクター別の関税からの保護を働き掛け、両者はこの関税の上限を協議している。
トランプ氏は22日、日本からの輸入品に一律で課す関税率を15%とすることで合意したと明らかにした。これまでに示唆していた25%から引き下げた格好で、EUなど他の主要自動車輸出国に対する関税率は現在25%であることから、日本車には相対的に低い関税率が適用されることになる。
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原題:EU Diplomats See Progress Toward US Trade Deal With 15% Tariffs(抜粋)