「自分が育った世界はもう消えてしまった」猛暑に苦しむ世界の若者を襲う「気候悲嘆」とは(ハフポスト日本版)
イギリスでは今月、観測史上最も暑い日を記録した。3月の最高気温記録にいたっては、今年だけで2度も塗り替えられた。 【画像】「気候悲嘆がひどい...」イギリスの若者の投稿 学校は休校となり、山火事が発生し、電車は運休を余儀なくされた。 こうした事態はイギリスに限った話ではなく、今月に始まったことでもない。フランスやスペインの一部でも異例の猛暑が観測されており、インドでは何週間も耐えがたい酷暑との闘いが続いている。 現在発生しているエルニーニョ現象の影響により、「今年の6月から8月にかけては『ほぼすべての地域』で非常に激しい暑さがもたらされる可能性が高い」と国連は指摘した。 こうした温暖化の傾向は何十年も前から強まっており、今後も続くと予想されている。それならば、人々、特に若い世代が、気候変動への深い悲しみ「気候悲嘆(Climate Grief)」を経験しているのも無理はない。 イギリスに住むデイジーさんはTikTokに投稿した動画で次のように語っている。 「気候悲嘆がひどい……。2021年以降、きちんとした四季があったことがない。自分が育った世界はもう消えてしまった。猛暑に対応できるインフラがないイギリスで、毎年夏になると地獄のような暑さに備え、ほぼ存在しない秋が来るのを待ってる」 この動画のコメント欄は、共感の声で溢れた。「うちの子どもたちは雪の日を一度も経験したことがない」といったコメントが、世界中から多く寄せられている。 ハフポストUK版は、この動画にコメントを寄せたドイツの学生エミリアさん(19歳)、環境NGOのグリーンピースUKのハリソン・カークマン氏、そして心理学者のキャンディス・オニール博士に、この現象について話を聞いた。
オニール博士は「気候悲嘆」を次のように解説する。 「気候悲嘆とは、死や死を迎えることへの恐怖と強く結びついている、深い実存的な懸念です。私たちを取り巻く世界について、知っているものすべてが、自らのコントロールを超えて変化し、移り変わっていくことへの漠然とした不安でもあります」 そして、この感情は「気候変動に対してより意識的で、主体的に行動しようとする若い世代に特に多く見られる」という。 かつては当たり前だった季節の移り変わりなどに伴う不変的なことが失われつつあると感じたり、子どもの頃に愛した秋や冬を2度と経験できないのではないかと不安に思ったりする。 グリーンピースUKのカークマン氏は、自身の身の回りの変化をこう語る。 「今年、私の住む地域ではヨーロッパアマツバメが減ったように感じる。毎日、もっと飛んできてほしいと願いながら探しているけど、昆虫の減少によって一部の鳥類の生息数は過去最低にまで落ち込んでいるのです」 「特に若い世代にとっては、自然界の一部が、自分たちがそれを知る機会さえないまま失われていくという、悲しさと痛みがあるのです」 前出のエミリアさんは、10歳頃からこの「気候悲嘆」を感じ始めたという。 「それ以前から気候変動のことは知っていたけど、私たち人間がその直接的な原因であると気づいたとき、深い苦悩に陥った。よく無力感を覚えます」 「個人として何をしても決して十分ではないと感じてしまい、世の中で起きていることに対して『世界への諦め』のようなものを抱えています。そのせいで、今ではあらゆる暑さに対して恐怖を抱くようになってしまいました」