AIでソフト開発者に解雇の波、マイクロソフトの米大規模人員削減

マイクロソフトが先日発表した大規模な人員削減では、製品開発を担うソフトウエアエンジニアが主な削減対象となった。ソフトウエア開発者も解雇リスクにさらされる人工知能(AI)時代の現実が浮き彫りとなった。

  ブルームバーグが確認した米ワシントン州の文書によると、今回、削減対象とされた州内の従業員約2000人のうちソフトウエアエンジニアリング職が40%余りと、職種別で最多となった。同州にはマイクロソフトの本社がある。

  マイクロソフトは13日、全社で約6000人の削減を行うと発表した。同社や競合他社はAI関連の投資を急速に拡大する一方で、コストを精査し予算の再配分を進めている。マイクロソフトの経営幹部はデータセンター建設への巨額投資を踏まえ、支出抑制に取り組む姿勢を示してきた。

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  現在、AIによってプログラムのソースコードの生成や解析が自動化されつつあり、開発者がキーボードで記述していた作業も徐々にAIに置き換えられている。マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は4月、同社の一部プロジェクトでは最大30%のコードがAIによって生成されていると明らかにした。

  AIに軸足を移す中で人員配分を見直す動きは一部のハイテク企業に広がっている。セールスフォースは今年、AI関連の営業職を新規採用する一方、1000人余りの人員削減を計画。マーク・ベニオフCEOは2025年にエンジニアの新規採用を減らす方針を示した。

  マイクロソフトはソフトウエアエンジニアに加え、プロダクトマネジメント職や技術系プロジェクト管理職も重点対象にしており、ワシントン州ではこの2職種だけで約600人が削減対象となった。

  事情に詳しい関係者によると、さらにAI関連プロジェクトに関わるマネージャーや担当者の一部も削減対象とされたという。ただ、ワシントン州のデータによると、営業やマーケティングといった顧客対応職種は比較的影響を受けなかったとみられる。マイクロソフトはコメントを控えた。

  マイクロソフトは今回のレイオフの目的は管理職層のフラット化だと説明しているが、これがどの程度進んでいるかは明らかでない。ワシントン州では削減人員の約17%が管理職であり、米雇用機会均等委員会(EEOC)に提出された報告書によると、これは2023年末時点の同社全体の管理職比率とほぼ同水準だ。

原題:Microsoft Layoffs Hit Coders Hardest With AI Costs on the Rise(抜粋)

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