米国でインフルエンザの感染拡大、基準値上回る 変異株「サブクレードK」が流行の主因に

新たな変異株は今年のインフルエンザワクチン接種対象となる四つ株を選定した後に特定されたため、今年のワクチンには含まれなかった/Nam Y. Huh/AP

(CNN) 呼吸器疾患に関する米国の最新データから、感謝祭明けの米国でインフルエンザの感染が拡大していることが分かった。症例の多くを占めるのは変異株「サブクレードK」で、アジアやオーストラリア、欧州でもこの変異株がインフルエンザの早期流行を引き起こしている。

米国はいま、サブクレードKの影響が判明する直前の段階にある。米疾病対策センター(CDC)によると、感謝祭明けの最初の週となった12月6日までの1週間に、発熱やせき、のどの痛みなどの症状で医療機関を受診した人の割合は3.2%に達した。

この値は感染症の専門家が「流行の閾値(いきち)」と呼ぶ全米の基準値を上回る。これについてジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の感染症対策部門を率いるケートリン・リバース医師は、インフルエンザシーズンが正式に始まったことを告げるシグナルだと指摘する。

症例を詳しく追跡してきたリバース氏によると、インフルエンザシーズンの始まりを見極める方法は二つ。カレンダーから判断すれば第40週、10月第1週ごろに当たるが、その時期に必ずしもインフルエンザが広く流行しているとは限らない。

流行状況で判断するなら、「3.1%の閾値がインフルエンザシーズンの始まりに当たる」とリバース氏は説明する。

CDCの最新情報によると、少なくとも14の公衆衛生区で中程度から高レベルのインフルエンザの流行がみられ、主に北東部に集中している。ニューヨーク市では活動レベルが非常に高く、ニューヨーク州とニュージャージー州も高いレベルにある。コネティカット州とマサチューセッツ州、ロードアイランド州は中程度のカテゴリーに入る。

今週は米国で今シーズン初となる子どものインフルエンザ死亡例も報告された。

CDCインフルエンザ部門の最高医療責任者を務めるティム・ウエキ医師は今週、医師向けの電話会議で、「我々の調査から、米国で目下、インフルエンザの流行が拡大していることが分かる。従って、今シーズンのワクチン接種のタイミングはまさにいまだ」と呼び掛けた。

今回のインフルエンザシーズンに米国の検査機関が採取・分析したウイルスは、「H3N2」の変異株であるサブクレードKが過半数を占めている。H3N2自体、A型インフルエンザウイルスの亜型に当たる。

ニューヨーク州は「インフルエンザA(H3)が感染の半数超を占めるシーズンは一般に、症状の重症化、特に高齢者の重症化が顕著で、受診者が増える結果になる」と警戒を促した。

中国・上海で冬のインフルエンザシーズン中に治療を受ける患者たち=12月4日/Visual China Group/Getty Images

日本や中国、英国、カナダを含む他国でも、インフルエンザの流行が報告されている。

サブクレードKが最初に検出されたオーストラリアでは、確認されたインフルエンザの症例が50万近くに達し、前年に更新したばかりの記録を上回った。

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