アングル:米EV市場、税控除終了で崩壊の恐れ 各社が対応急ぐ
[デトロイト 1日 ロイター] - 米国で電気自動車(EV)購入時に最大7500ドルの税額控除が適用される制度が9月末で終了したのに伴い、業界は国内のEV販売が激減する事態を覚悟している。
ファーリー氏は、米自動車販売全体に占めるEVの比率が10月は5%に落ち込んでも驚かないと述べた。税額控除打ち切り前の駆け込み効果があった8月の半分程度に過ぎず、過去数年で最も低い。
9月末にインタビューに応じたムニエ氏は、買い手の争奪戦になると予想。「大量の在庫があるので競争は極めて激烈になる。われわれの競争相手は多くのEVを生産した」と語った。
7500ドルの税額控除は2008年に議会で承認され、バイデン前政権時代の「インフレ抑制法(IRA)」の下で、米国内調達の電池や原材料を一定割合使用した「国産」EVに限定する形で延長された。
ところがトランプ大統領が7月に署名して成立した税制・歳出法には、9月末で制度を打ち切ることが盛り込まれた。トランプ政権は、燃費基準未達のメーカーに罰金を科す規則を停止するなど、ほかにもEV販売鈍化につながるような措置を打ち出している。
カリフォルニア大学バークレー校、デューク大学、スタンフォード大学の教授陣が昨年11月に実施した共同調査では、税額控除なしの場合、EV販売は27%減少する恐れがあるとの見通しが示された。
<大量在庫発生の懸念>
現段階でも米国のEV普及率は他の主要市場を下回っている。EVや車載電池、原材料の生産で世界の先頭を行く中国は、ここ数カ月で新車販売に占めるEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の比率が40%を超えた。欧州の普及率も20%近くに達する。
一方、米国は税額控除があり、各社が相次ぎ新型車を投入したにもかかわらず、過去2年間EV販売の伸びは減速してきた。コックス・オートモーティブによると、今年上半期のEV販売台数の伸びは前年比わずか1.5%だった。
一部の米販売店は、税額控除廃止で売れ残りが膨らむ事態を心配している。
中西部の販売店グループで最高執行責任者(COO)を務めるスコット・キューンズ氏は、当面メーカーから仕入れるEVを減らし、消費者の需要動向を見定める方針だと明かした。
ロイターは今週、GMとフォードが税額控除廃止の逆風を和らげるため、EVリース契約に同控除を継続的に適用するプログラムを導入していると伝えた。
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Nora Eckert reports on the automotive industry from Detroit. She covers Ford, GM, Stellantis and the United Auto Workers, with a focus on the industry's transition to EVs. She was previously a reporter for The Wall Street Journal in Detroit, where she broke news on major automakers and the UAW. She was earlier part of a WSJ investigations team that was recognized as a finalist for the 2021 Pulitzer Prize. Nora began her career as an investigative reporter with the Rochester Post Bulletin in Minnesota, where she focused on the state's organ transplant system and prisons.