市況 - 株探ニュース
日経平均株価はあれよあれよという間に上昇し、4万円の大台に達した。思わぬ急激な上昇は、急激な下落と同様に投資家を困惑させる。投資家に最も安心感をもたらすのは、多くの市場関係者が抱く予測に沿った予定調和の展開といえよう。つまり、このような思いもよらぬ上昇に対し、多くの投資家は困惑し、買いそびれてしまっている。これまで市場では年末に4万円大台を奪回するとの見通しが圧倒的に主流だったのだから……。
この間の値動きをチャートで追うと、まず惑わされたのが6月19日から23日までの下落だった。この時点で6月第4週は低調に終わり、上昇するにしても7月に入ってからとの見方が優勢だった。 ところが、24日の急反発が分岐点となった。週末まで4日続伸。その間の上昇幅は実に1796円に達し、4万円の大台に乗せたのだ。 この上昇の背景には、米国大統領の予測困難な振る舞いがある。米国による突然のイラン攻撃で中東情勢は混迷をさらに深めるかと思われたが、数日でイスラエルとイランが停戦で合意。急騰していた原油価格は落ち着き、株価も反転した。完全にトランプ大統領に振り回された格好となった。米国の NASDAQ指数は史上最高値を更新し、この分では7月も高くなる可能性が大だ。米株高は引き続き日本株にも好影響をもたらすことになろう。
日本株の需給も悪くはない。NISA(少額投資非課税制度)への資金流入、自社株買いに加え、海外投資家は12週連続で日本株(現物)を買い越している。 では、今後の行方はどうか。上げすぎとの見方もあるが、トランプ大統領が繰り出す政策が読み切れず、日米関税交渉も未だ決着をみない中で、投資家は恐る恐る押し目を買っている状況にある。 こうした恐る恐るの買いであれば、上昇相場は案外長く続く可能性が大きい。むしろ一気呵成に買い気が募るときが心配といえよう。 ●二番手、三番手銘柄に目配りを物色動向だが、目下はエヌビディア<NVDA>の株価上昇に引っ張られ、アドバンテスト <6857> [東証P]を先導役にして半導体関連を中心にグロース株が活況を呈している。しかし、アドバンテストの株価はすでに4月安値からおよそ2.3倍化している。今後は二番手、三番手に主力が移行することも想定される。アドバンテストの株価動向には十分注視しておきたい。
また、足もとの東京市場ではグロース株の合間を縫って 防衛関連、造船、好業績株が顔を出す展開が続いている。こうした銘柄群も目下は一番手の主力株が活況を呈しているが、やがて一番手から二番手、三番手へと流れが変わっていくのが定石である。いわゆる、出遅れ株買いだ。
たとえば、グロース株ではソニーグループ <6758> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、TDK <6762> [東証P]などが動意を見せ始めている。防衛関連でも二番手の東京計器 <7721> [東証P]などが水準を切り上げている。要注意だ。
一方、好業績株は買い根拠がしっかりしているだけに、上昇相場の寿命は長い。たとえばサンリオ <8136> [東証P]、日立製作所 <6501> [東証P]、内需でファーストリテイリング <9983> [東証P]を追撃するFOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]などは、高くても安くても買い安心感がある。
このほか、ここから注目しておきたいのが野村ホールディングス <8604> [東証P]と日本製鉄 <5401> [東証P]だ。ひょっとしてひょっとする可能性を秘めている気がする。
2025年6月27日 記 株探ニュース