トランプ氏がロシアに再び警告、ウクライナ戦争続けば大規模制裁も

トランプ米大統領は22日、ウクライナ戦争について今後約2週間以内に合意に達しない場合、ロシアに対し「大規模な制裁」を科すことも辞さない考えをあらためて示した。ロシアのプーチン大統領との会談が成果に乏しかったことを受け、再び強硬な姿勢に転じた。

  トランプ氏は「この戦争に関して、満足できることは何もない」と述べ、「今後2週間のうちに事態がどちらに転ぶのか分かるだろう」と語った。

  その上で、ロシアへの対応について「大規模制裁か、大規模関税か、あるいはその両方かもしれない。もしくは、何もせずに『これは君たちの戦争だ』と言うかだ」と付け加えた。

  この発言は、大統領執務室で記者団の質問に答えた際に飛び出したもので、トランプ氏の対ロ政策が一貫性を欠くことを浮き彫りにした。トランプ氏は先週、アラスカ州でのプーチン氏との会談前に停戦を要求していたが、会談後には和平合意の可能性に期待感を示していた。

バンス米副大統領(左)とトランプ大統領(8月22日)

  しかし、会談後に停戦の可能性は再び薄れた。ロシア側はプーチン氏とウクライナのゼレンスキー大統領による会談の可能性について明言を避けており、ウクライナの安全保障体制に対してロシアも発言権を持つべきだとの立場を崩していない。

  一方、ゼレンスキー氏は22日、キーウで北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と共同記者会見を開き、プーチン氏との2者会談および、トランプ氏を加えた3者会談のいずれにも応じる用意があると改めて表明。「プーチン氏を止められる唯一の人物」はトランプ氏だと述べた。

  今回のトランプ氏の警告をどの程度真剣に受け止めるべきかは今のところ明らかではない。同氏は「2週間以内に」何かが起こると言うことが多く、時間稼ぎの常とう句ともされている。先月には、ロシアが停戦要求に応じなければ100%の関税を課すと表明していたほか、7月28日にはロシアに対し、ウクライナとの停戦合意期限を10日以内としたが、それが過ぎても行動には至らなかった。

  一方、プーチン氏は22日、アラスカ州での米ロ首脳会談について「両国関係の完全な回復に向けた出発点」と評価。「現大統領であるトランプ氏のリーダーシップは、両国関係が回復に向かうことの良い保証となる」と語った。ただ、結果は多くの西側諸国次第であり、米国はNATOを含むパートナー国との「義務に縛られている」とも述べた。

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原題:Trump Again Threatens Sanctions If Ukraine Conflict Goes On (1)(抜粋)

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