慢性腎臓病の進行リスクが高い5業種とは? 腎機能は悪化すると回復困難 予防や悪化を防ぐことが大事
群馬大医学部卒の内科・美容皮膚科医でありながら、吉本興業所属のお笑い芸人でもある「しゅんしゅんクリニックP」さんが、自身も含むアラフォー世代の健康管理についてアドバイスします。
こんにちは。9月になっても一向に暑さが和らぎません。 僕の少年時代、こんなに暑かったっけ? 毎年「今年が一番暑いなぁ!」と言っているような気もしますが、今年は本当に暑いでシュッ! 先日、後輩芸人エルフ主催の「真夏のぶちアゲ運動会」という、3000人のお客さんの前でひたすら全力でドッジボールをするイベントに出演しました。芸人の仕事って面白い! けが人も出ずに良かったです(むしろ僕は医者要員でした)。
さて今回は、「腎臓」についてのお話です! 腎臓って、モブ(※)感ありますよね(ないですか?)。僕的には何となくモブ臓器のイメージです。もちろん誰もが知っている知名度の高い臓器ではありますが、腎臓の役割を聞かれてすぐに答えられる方いますか? みなさんここで思考停止しないでください! すぐ下に答えを書いています。そして腎臓は、じんぞう(尋常)じゃないほど大切な臓器なんです! ※アニメやゲームで主なキャラクター以外のその他大勢を指す言葉 ① 腎臓はおしっこを作ります! 体の中の不要な老廃物や、余分な水分を尿として外に出します。 ② 骨を丈夫にします! ビタミンDを活性化させ、小腸からのカルシウムの吸収を助けます。 ③ 血圧を調節しています! レニンというホルモンを出し、血圧を一定に保っています。 ④ 体のバランスを保ちます! 尿の量を調節して水分を一定に保ったり、ナトリウムやカリウムといった電解質を調整しています。 ⑤ 血を作ります! 赤血球を作るように命令するエリスロポエチンというホルモンを出しています。 つまり腎臓はバランサーですね! ほら、グループ内にもいるじゃないですか? みんなの会話をうまく取り持ってスムーズに回す人みたいな。誰かと誰かがピリついたり、悪口で盛り上がったりするのを、うま~く滑らかに進める人みたいな。それが腎臓です! 腎臓は芸人でいうところの「裏回し」です(違うか?)。
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日常生活の注意点としては、生活習慣病を起こさないような生活が大事です。すなわち禁煙、節酒、適度な運動、減塩、太らない、よく眠る、こういった基本的なところが結局重要です。すでに慢性腎臓病と言われている方は、血圧を高くしないように塩分制限は必須です(1日6グラム未満)。食事ではたんぱくを控えることが大事なので、主治医や栄養士さんとよく相談しましょう。 あとは鎮痛薬の常用が、腎臓にダメージを与える可能性もあります。みなさんがよく使う市販薬、例えばロキソプロフェンやイブプロフェンは腎臓の血流を低下させる働きがあり、悪影響を及ぼす可能性があります。慢性腎臓病と診断されている方は当然注意が必要ですが、そうでなくても漫然と連日使うことは避けましょう。高齢の方も薬剤性腎障害を引き起こしやすいです。リスクは身近にも潜んでいるのです。 最後に直近の話題として、2025年8月に、慢性腎臓病の進行リスクが高い5業種についての論文が発表されました。① 情報通信業、② 運輸業・郵便業、③ 宿泊業・飲食サービス業、④ 生活関連サービス業・娯楽業、⑤ 医療・福祉の5業種とのことです。医療もしっかり入ってますね! 勤務スケジュールが不定期であったり、座っている時間が長かったりすることが可能性として考えられているそうです。当てはまる方は特に要注意かもしれません! ということで、今回は腎臓についてのお話でした。 腎臓の機能は無尽蔵ではありません! じんぞう(尋常)じゃない愛を注いであげてくださいね!
医者芸人。1983年、前橋市出身。群馬大医学部卒。NSC(吉本総合芸能学院)東京校16期卒。2011年、漫才コンビ「フレミング」結成、16年解散、ピン芸人に。ダンスしながら医療あるあるを歌うリズムネタ「ヘイヘイドクター」で注目され、テレビや舞台、YouTube、学園祭などで活躍。最近は77歳の若手芸人「おばあちゃん」とのコンビ「医者とおばあちゃん」も話題。埼玉県内のクリニックなどに勤務。書著に「40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?」(ヨシモトブックス)