水野和敏氏は言語道断とご立腹!! R35GT-Rの3タイプのオープンモデルってどんなクルマ?[復刻・2014年の話題]

/ コラム

 本誌『ベストカー』にて、クルマにまつわる変わったもの、見慣れないものを取材する連載企画『これは珍なり(略して『これ珍』)』。数ある企画の中から、「日産GT-Rにオープンモデル登場!?」の話題をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2014年4月26日号に掲載した記事の再録版となります)

【画像ギャラリー】クーペのみだった日産GT-Rにオープンモデル登場!? しかも一気に3タイプ!!?[復刻・2014年の話題](6枚)

タイプ1(NCE社が最初に製作したモデル)。カウルのないタイプで最もプレーンなオープンモデルがこれ。本当に「ただ屋根を切っただけ」!?

 ……といっても、これは米国でのお話。

 ベースモデルがどんなクルマでもオープンカーにしてしまうという米国カリフォルニア州の職人集団、「Newport Convertible Engineering」(NCE社)がこのほど、GT-Rのオープンモデル「GT-R Convertible」を3種類も発表したのだ。

 GT-Rといえば2007年のデビュー以来、クーペのみのラインアップで販売されているモデル。

 ベストカーでもスクープ情報で4ドアモデルの存在について過去にレポートしてきたことはあったが、現在まで追加されたことはない。

 現行スカイラインクーペには北米でインフィニティG37コンバーチブル(日本未導入)があったが、GT-Rのオープンが登場したとあっては気になる日本のクルマ好きも多いはずだ。

 そもそもGT-Rにオープンモデルを製作しようとしたのはなぜか。

 NCE社CEOのアル・H・ザデフ氏によると、GT-Rを10台所有している中東に住むカーコレクターから「ぜひ自分のGT-Rをオープンモデルにしてもらいたい」とのオファーを受けたことがきっかけとなったそうだ。

 そこで、ザデフ氏はまずイメージスケッチをそのコレクターに見せようとしたところ、ほとんど見もせずに「すぐに実車を製作して見せてくれ」と言われたのだとか。

 NCE社はこれまでにレンジローバーやジャガーXJをオープンモデルにした実績があり、ほかにもデザインスケッチのみとなるが、6輪にしたフェラーリ599とロールスロイスファントムクーペ、それにキャデラックATSなどを手がけている。

 それだけに自信を持って今回のオープンモデルを製作し始めたとのこと。

 まず、NCE社が最初に仕上げたのが古典的なコンバーチブルモデルであるファブリックのトノカバーを備えたタイプ(※タイプ1)。

 次にハードタイプのトノカバーをロールバーとカウルに取り付けたタイプ(※タイプ2)を製作したという。

タイプ2(タイプ1の次にNCE社が製作したタイプ)。トノカバーと低いカウルがアクセントになっているタイプ。なかなかの完成度に思えるが、依頼主は納得せず

 しかし、製作を依頼したコレクターはこの2タイプの出来映えに満足せず、もっとゴージャスな雰囲気になるように要求したらしい。

 このため、最終的にはカウルを「タイプ1」や「タイプ2」よりも目立たせるようにした「タイプ3」を製作。

 ブラックのボディカラーやホイールとのマッチングも考え、最終的にコレクターはこのタイプ3を選んだのだという。

タイプ3(依頼主のコレクターが決めたという最終タイプ)。その迫力にようやく依頼主も納得

 ちなみに、この時に製作された3タイプのGT-Rコンバーチブルは、NCE社が世界中から注文を受け付けることになり、現在もGT-Rオーナーからの注文を待っているそうだ。

 その改造費は2万9500~4万9000ドル(約300万~500万円)で、納車までに約2カ月かかるという。けっこう大がかりな改造のはずだが、意外に納期がかからないような気もする。

 で、日産広報部に聞いてみたところ、「GT-Rのオープンモデルを正式に出す予定はまったくありません。ユーザーからそういった要望がまったくないというワケではないんですけど……」とコメントしている。

 また、GT-R元開発者の水野和敏氏はこのコンバーチブルモデルをどう見たのか。

 感想をうかがってみると、

「ハッキリ言って(GT-Rの)オープンなんて言語道断だね! そもそもGT-Rは開発段階から上屋の剛性配分をふつうのクルマよりも上げて作ったクルマ。あの上屋なくして、GT-Rの走行性能と安定性、乗り心地はあり得ない。

 だからボクがGT-Rを出す時、クーペだけにしてオープンは設定しなかったんだよ。そのショップに製作を依頼したオーナーはそのことをまったくわかっていないんだろうなあ。屋根だけ切ってクルマを作るのなら誰だってできることなのにさ」

 とご立腹の様子でした。ごもっとも。

(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)

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