「ウクライナの無人機」ついに自衛隊も導入検討へ? なぜ今? “ドローン実践大国”に世界から注がれる視線とは?
自衛隊がウクライナ製無人機の導入を検討していることが報じられました。ロシアとの戦いで日々進化を続けるウクライナ製に白羽の矢が立った背景には、日本の防衛政策や複雑な国際情勢がありました。
白羽の矢が立った「ウクライナ製」
共同通信は2026年3月14日に、複数の政府関係者の話として、自衛隊がウクライナ製UAS(無人航空機システム)の導入を検討していると報じました。なぜいま“ウクライナ製”なのでしょうか。
キーウ攻撃に使用されたUAV「シャヘド136」の残骸。ウクライナのドローン迎撃用ドローンで撃墜された(画像:キーウ市国家管理局)自衛隊は、敵性勢力の攻撃圏外から長射程防衛装備品で攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」などによる抑止が機能せず、万が一攻撃を受けた際に、無人装備品(アセット)を活用して人的損耗を抑えつつ、非対称な戦い方により侵攻を阻止・排除することを目的とする「無人アセット防衛能力」の整備を推進しています。
また、2022年6月に当時の岸田内閣が経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる“骨太の方針”の中で、5年以内に防衛力を抜本的に強化すると表明していました。こうしたタイムスケジュールのなかで、海外製UASの導入が検討されてきました。
2026年3月23日現在、参議院で審議中の令和8年度予算案では、無人アセット防衛能力の一環として、各種無人アセットを組み合わせた多層的沿岸防衛体制「SHIELD」(Synchronized,Hybrid ,Integrated and Enhanced Littoral Defense)を構築する方針が示されています。
日本を取り巻く安全保障環境が現在よりも厳しいものでなく、財政的にも現在より余裕があった1990年代であれば、「SHIELD」を構成する無人アセットは時間とお金をかけて、すべて国内開発されたのかもしれません。しかし現在の日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、財政的にもかつてのような余裕はなく、諸外国で既に実績のある無人アセットを導入することを検討しているのです。
その一つとして、ロシアとの戦いで得た知見を反映し、日々能力が向上しているウクライナ製UASに白羽の矢を立てることは、合理的な判断なのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
ウクライナがロシアの侵攻を受けるまで、UASをはじめとする無人装備品開発と製造は、イスラエルが世界をリードしてきました。おそらく何事もなければ、自衛隊が導入する各種無人装備品のいくつかは、イスラエル製だったのではないかと考えられます。
しかし2023年から始まった、パレスチナのガザ地区侵攻におけるふるまいや、2026年2月からアメリカと共同で行うイラン攻撃は国内外から非難の対象となっています。共同通信も当該記事で触れていますが、このような状況下でイスラエル製の防衛装備品を導入することに、世論の理解を得にくくなっていることも事実です。