道路脇で「カチカチ…」は過去の話に!? 国交省の方針に合わせたAIを活用した交通調査サービス その精度とは
千葉県の幕張メッセで2025年6月18日から21日まで開催される「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO)」にて、AIを活用した交通調査サービス「トラカメ」が紹介されました。
実は人力の調査は廃止に向かっている
千葉県の幕張メッセで2025年6月18日から21日まで開催される「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO)」にて、AIを活用した交通調査サービス「トラカメ」が紹介されました。
交通調査のイメージ(画像:写真AC)展示を行っていたのは、工事用保安用品のレンタル・販売を手がけるセフテックという企業です。ブースの担当者によると、2025(令和7)年は5年に一度実施される「全国道路・街路交通情勢調査」の年にあたり、9月から11月にかけて全国で集中的に交通調査が行われる予定です。
今回の調査では、調査方法そのものに大きな変革が見られます。国土交通省は、新型コロナウイルスの影響で1年延期された前回(2021年/令和3年)の調査から、人手による交通観測を原則的に廃止する方針を打ち出し、約7600区間の直轄区間ではすでに人力による調査を廃止しています。さらに2025年の調査では“全調査区間における人手観測の原則廃止”が求められています。
つまり、従来のように路上でカウンターを手に交通量を数えていた交通観測員は、今回の調査では原則として使用されないということです。その背景には、安全面での問題や、人による測定結果のばらつきといった精度面での課題があります。
このような方針転換を受け、現在ではビデオカメラなどを設置して交通調査を行う方法が主流となりつつありますが、担当者は「バッテリーの持続時間や、録画後のデータカウント作業の煩雑さなどに課題を抱える業者が多いのが現状です」と話します。
こうした課題に対応するために開発されたのが、交通調査に特化したカメラ「トラカメ」です。交通量調査が3日間連続で実施されることを想定し、ブロー製看板の裏側に制御ボックス兼バッテリーを設置することで、72時間以上の連続録画が可能となっています。満充電には約1日を要しますが、多くの業者は複数台を用いるため、ローテーションを組むことで運用に支障はないとのことです。
また、重さは約40kgで、人力でも持ち運び可能な重量です。2人1組であれば、設置作業は数十分で完了します。
さらに、録画データはクラウドにアップロードされ、映像解析AI交通量調査サービス「SCORER」のAPIと連携して動画を転送することで、AIが車種や歩行者などを判別し、カウントデータを解析結果の映像とともに生成します。「どうしても人によるカウントでは見落としが出ますが、AIによるカウントでは精度が格段に高く、90%以上の精度で計測が可能です」と、担当者は話します。
すでに「トラカメ」を試用している業者もあり、反応は上々とのこと。同社では、9月から始まる本格的な調査シーズンに向け、さらなる普及を目指してアピールを強化していく構えです。