トランプ氏、シカゴ向け20億ドル凍結-政府閉鎖で民主牙城標的に

ホワイトハウスは3日、シカゴの交通インフラ事業向けの20億ドル(約2900億円)超の資金を凍結し、オレゴン州ポートランドへの連邦資金を削減する方法を検討していると明らかにした。政府機関の閉鎖を利用して民主党の地盤を狙い撃ちにする新たな動きとなる。

  米行政管理予算局(OMB)のボート局長はこの日、「シカゴのインフラ事業向けの21億ドルを凍結した。地下鉄レッドライン延伸とレッド、パープル路線近代化プロジェクト向けが中心となる。人種に基づく契約によって資金が流用されるのを防ぐためだ。詳細は運輸省から近く発表される」とX(旧ツイッター)に投稿した。

  これとは別に、ホワイトハウスのレビット報道官は、移民政策への抗議活動が続くポートランドについて、トランプ大統領が「削減可能な支援を精査するよう、ホワイトハウスのチームに指示した」と明らかにした。

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  トランプ大統領はこれまで、政府閉鎖を利用して数千人規模の連邦職員を削減するとともに、民主党が支持するプログラムを削減する意向を示している。シカゴ向けの資金凍結の発表は、政府機関閉鎖が3日目に入った局面で打ち出された。

  トランプ氏がシカゴでの移民取り締まりを強化していることを巡り、イリノイ州のプリツカー知事は繰り返し非難の声をあげてきた。一方、2028年大統領選に向けて準備を進めているとの観測が強まる民主党のプリツカー氏に対し、トランプ氏は攻撃を一段と強めている。

資金が「人質」

  プリツカー氏は「連邦当局者がシカゴで混乱を引き起こしているなか、トランプ政権は超党派で合意した資金を人質に取っている」とXに投稿。「政争の得点稼ぎを狙っているようだが、実際には経済と、通勤や通学に公共交通機関を頼る勤勉な人々を傷つけている」と批判した。

  シカゴのジョンソン市長は、トランプ政権がアルゼンチンとの200億ドルの通貨スワップを協議する一方で、シカゴの交通インフラ事業向け資金を凍結したと非難。「アルゼンチンは200億ドルを得るのにシカゴ南部には何も回ってこない。米国ファーストはどうなったのか」とXに投稿した。

  ホワイトハウスの予算責任者であるボート氏は、政府機関の閉鎖が始まった1日以降、ニューヨークのインフラ資金180億ドルに加え、民主党支持州のクリーンエネルギー事業向け80億ドルを凍結している。

  シカゴは民主党の牙城としてトランプ氏が執拗に標的としてきた都市だ。犯罪や暴力が制御不能な状況にあると主張し、州兵派遣の意向を繰り返し示している。

長引く閉鎖

  政府閉鎖が続く中、ホワイトハウスは「数千人規模」の連邦職員削減を検討している。トランプ氏は2日、連邦職員の削減についてボート氏と協議しており、3日にも削減計画の正式な発表が行われる可能性がある。

  共和党のジョンソン下院議長は2日、「民主党が政府閉鎖を長引かせるほど、痛みは増す」と発言。さらにホワイトハウスは「政権の優先事項を精査し、その資金確保を確実に行う」と記者団に述べていた。

  上院は3日に下院が可決したつなぎ予算案を再び採決する予定だが、法案が通過する見込みは薄い。上院が週末に採決を行う公算は小さく、そうなれば政府機関の閉鎖は来週まで続くことになる。

原題:Trump Threatens Funding for Chicago, Portland in Shutdown Fight(抜粋)

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