コウモリに方言が生まれていることが判明

サイエンス

方言は人間特有のものと考えられがちですが、実はクジラなど他の動物にも存在することが分かっています。チャールズ・ダーウィン大学の研究で、コウモリにも方言が生まれていることが分かりました。

Dialect Formation in Ghost Bats: Genetic, Geographic and Morphological Drivers of Social and Echolocation Call Divergence - Hanrahan - 2026 - Ecology and Evolution - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.72797

Ghost bat dialects emerge across colonies, study suggests https://phys.org/news/2026-04-ghost-dialects-emerge-colonies.html

チャールズ・ダーウィン大学のニコラ・ハンラハン氏らは、オーストラリアのノーザンテリトリーに生息するゴーストバットを調査対象に選びました。ゴーストバットは絶滅が危惧されている種であり、推定個体数は1万匹未満です。ノーザンテリトリーには世界全体のゴーストバット個体群の20%が生息しているそうです。

ハンラハン氏らは5つのコロニーを訪れてコウモリの鳴き声を録音し、鳴き声を「さえずり」「口論」「社会的鳴き声」「反響定位(エコーロケーション)」の4つに分類。コロニーごとに音響学的な違いがあるかどうかを分析しました。

その結果、すべての鳴き声に一定の差異があることが認められました。例えば、遺伝的な差異が大きいコロニーほどさえずりと口論で発せられる鳴き声が異なり、生息地間の距離が離れているコロニーではさえずりで発する音が有意に違っていたそうです。このことから、ハンラハン氏らは「コロニー間で方言が形成されていることを示唆している」と結論づけています。

各コロニー間の個体は地理的に離れるにつれて遺伝的にも異なり、耳の長さなど一部で違いが見られたそうです。一方で反響定位を制御していると考えられている「鼻葉」に有意な差はなかったため、ハンラハン氏らは「鼻葉の形状は機能的な制約を受けている可能性が高い」と指摘しています。

今回の調査対象のコロニー間の距離は最大で800kmにもなっていました。これらのコロニーではさえずりと口論で鳴き声に違いが見られましたが、対照的に社会的鳴き声と反響定位には違いが見られなかったため、ハンラハン氏らは後者の2つについて「コロニー間の差異の発生を制限する強い機能的制約を受けていることを示唆している」と考察しました。 ハンラハン氏らは、「鳴き声の違いは遺伝的および地理的距離で説明が付くと思われるが、文化的な要因など他のメカニズムが働いている可能性があり、さらなる調査が必要である。この魅力的な種の社会行動については学ぶべきことが多く残されている」と記しました。

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