Micronが5年に及ぶ長期契約を複数獲得。メモリ価格高騰は2030年まで続く?
Micronが2026〜2030年の長期供給契約16件を締結し、最低価格設定により売上の約40%を価格下落リスクから切り離したことを、2026年度第3四半期決算で明らかにしました。CEOのSanjay Mehrotra氏は最低価格について「過去のどのサイクルのピーク粗利率も上回る水準」と述べています。
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契約はMicronがStrategic Customer Agreement(SCA、戦略的顧客契約)と呼ぶもので、決算説明会で詳細が説明されました。これまで複数のCSPやOEMがメーカー大手と1年を超える長期契約の獲得に動いていたことが断片的に伝えられてきましたが、Micron側が契約の構造と規模をまとめて公表したのは今回が初めてとなります。
16件のうち大半は2026年から2030年までの5年契約で、自動車関連のみ3年契約となっています。契約相手は「非常に大規模」な4社、「中規模」な3社、自動車中心の中小企業数社という構成で、AI企業に加え家電・自動車セクターも含まれているものの社名は非公開とされています。
規模面では、14件のSCAについて最低契約価格で計算した累計収益コミットが約1,000億ドルに達するほか、顧客から約220億ドル(うち約180億ドルが現金デポジット)の前払いや財務的コミットメントが見込まれています。16件の契約は2030年までの期間内でMicronのDRAM出荷量の約20%、NAND出荷量の約33%に相当し、売上ベースでは約40%をカバーする計画です。
また、Mehrotra氏はこのような確約された契約をさらに広げる考えで、最終的にこの比率を50%以上に引き上げる意向を示しています。
価格条件は最低価格(フロア)と最高価格(シーリング)の上下バンドが設定されています。Mehrotra氏はこのフロア価格について「Micronにとって堅調な粗利率を確保するもので、過去のどのサイクルの四半期ピーク粗利率も上回る水準にある」と説明しています。一方で顧客側もシーリング価格により、市場価格がさらに高騰した場合のリスクを抑えられる仕組みです。
実際、今回の決算では連結粗利率が84.9%、第4四半期のガイダンスでは粗利率約86%という水準が示されており、フロア価格の水準感が読み取れます。同社は2025年12月の決算時点でも複数年契約の締結に向け取り組んでいると明言していましたが、半年経って具体的な契約形態と規模が公表された形です。
なお、Mehrotra氏は2028年に業界全体の供給が緩やかに改善する見込みであるとしつつも、「供給が需要に追いつく時期は予測できない」と述べています。
AMDのDavid McAfee氏は2026年6月にDDR5価格の正常化は2028年頃になるとの見通しを示していました。しかし今回のSCAは、最低価格による下限の固定に加え、購入数量を顧客に約束させる「テイク・オア・ペイ」型を採用しており、価格と数量の両面でMicronが下振れリスクから切り離される構造となっています。
売上の40%分が契約済みの価格・数量に固定される以上、2028年に増産が進んでもその下落効果は残り60%のスポット市場側に限定されます。しかも、その60%の主な買い手であるCSPなどの大口顧客自身がSCAで割当を確保している以上、スポット価格が一時的に下がっても契約価格まで引き下げる圧力は働きにくいとみられます。
なお、自作PC向けDDR5の店頭価格は2026年1月のピークから1割強下げて以降、高値圏での膠着が続いている状況ですが、Micronの契約構造を踏まえると、今後数年間はDDR5 32GBや64GBが2026年初頭以前の水準まで戻る見込みは小さいといえます。そのため、PC市場の縮小が懸念されるほか、買い替えや増設を検討している場合は非常に大きな出費を覚悟するしかないのが現状です。
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