FRB、将来の利下げペース鈍化示唆 議長「夏に物価上昇」

米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25─4.50%に据え置くと決定した。写真は18日撮影(2025年 ロイター/Kevin Mohatt)

[ワシントン 18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25─4.50%に据え置き、当局者は年内に利下げが実施される公算が依然大きいとの見通しを示した。ただ、パウエル議長はこの見方に過度に重きを置くべきではないと釘を刺し、トランプ政権の関税措置によって今後、かなりのインフレが見込まれるとした。

最新の金利・経済見通しによると、年末までに計0.5%ポイントの利下げが実施されるとの中央値が示された。しかし、年内の利下げは不要との見方を示したのは7人と、前回3月の4人から増加した。 また、26年、および27年はそれぞれ0.25%ポイント刻みの利下げを予想。経済成長の鈍化、失業率上昇、物価上昇の加速というより厳しい見通しを踏まえ、今後の全体的な利下げペース鈍化の可能性を示唆した。

パウエル議長は記者会見で、 トランプ政権の関税の影響について「モノのインフレが幾分上昇した」とし、「夏にかけて一層表れる」という見通しを示した。

FRB当局者による最新の金利見通しを巡り「これら金利の道筋について、誰もが強い確信を持っているわけではなく、全てがデータ次第という点で一致している」とし、深読みしないようくぎを刺した。

最近のインフレ指標が好ましい低水準だったことを踏まえると、関税がなければ利下げが適切な可能性があるとしながら、今後コスト上昇が見込まれると指摘。「誰もが今後数カ月で関税によるインフレ率のかなりの上昇を予想している。製造業者、輸出業者、輸入業者、小売業者の間で誰かが関税を負担しなければならないからだ」とし、「最終的に誰かが関税を負担せねばならず、その一部は最終消費者の負担になる」と述べた。

その上で「関税引き上げによるインフレの影響が実際にどうなるか把握するのに数カ月、あるいは必要な期間待った方が賢明でより良い判断ができる」と語った。

当局者の最新の予測で25年の経済成長率見通しは1.4%に下方修正。一方、個人消費支出(PCE)価格指数の見通しは、25年末時点で3.0%、26年末時点で2.4%に高止まりし、27年にようやく2.1%に鈍化すると見込んだ。25年末時点の失業率は4.5%と予想。前回3月の予想は4.4%だった。

FRBは声明で「経済見通しを巡る不確実性は低下したものの、依然高いままだ」とした。前回5月の声明では、インフレおよび失業率の上昇リスクが「高まった」としていた。

さらに「失業率は引き続き低水準にあり、労働市場の状況はなお堅調」とした。政策決定は全会一致だった。

ブランディワイン・グローバルのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「ある種の停滞、低成長とインフレ率上昇というバイアスがまだある」とし、「FRBは依然として非常に忍耐強く、近い将来に利下げする方向に傾いているように感じられる」と述べた。

FOMC声明ではイスラエルとイランの衝突や石油市場などへの影響には言及しなかった。パウエル議長は「皆と同じように」この紛争を注視しているとし、エネルギー価格が上昇する可能性はあるが、通常そうした上昇はいずれ弱まり、インフレに長期的な影響を及ぼさないとの見方を示した。

「当面は政策スタンスの調整を検討する前に、経済の方向性について一段の情報を得るまで待つ良い位置にある」とし、FRBは入手される情報に「反応」する態勢にあると強調した。

金利先物市場では、次回利下げが実施される可能性が最も高いのは9月という見方が維持された。

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Covers the U.S. Federal Reserve, monetary policy and the economy, a graduate of the University of Maryland and Johns Hopkins University with previous experience as a foreign correspondent, economics reporter and on the local staff of the Washington Post.

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