"世界最大級の油田"があっても貧乏な国のまま…トランプの標的になったベネズエラ"反米大統領"の代償(プレジデントオンライン)
世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラ。しかし、現在の生産量は世界全体のわずか0.8%にとどまる。技術者の大量解雇や外資排除など、ベネズエラで2代続いた反米政権は失敗を重ね、石油大国を自滅へと導いた。トランプ大統領の標的になった石油産業に、復活の望みはあるのか。海外メディアはその構想が頓挫する可能性があると指摘している――。 【写真をみる】1998年、社会主義を掲げてベネズエラ大統領に選出されたウゴ・チャベス氏 ■トランプ氏は侵攻を「石油のため」と明言 アメリカ軍がベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領を拘束してからわずか数時間後。トランプ大統領は、フロリダ州にある自身の私邸マール・ア・ラーゴで記者会見を開き、アメリカの大手石油企業をベネズエラに送り込み事業展開させる計画を明らかにした。 米CNNによるとトランプ氏は、「我々はアメリカの大手石油企業、つまり世界でも最大の企業らを送り込み、数十億ドルを投じて荒廃した石油インフラを修復し、ベネズエラに収益をもたらしていく」と宣言した。 さらにベネズエラの現行の石油事業を「完全な失敗」と断じ、「本来のポテンシャルに比べれば、ベネズエラはほとんど石油を産出できていなかった」と批判した。 米公共ラジオ局NPRによると、トランプ氏は今回の軍事作戦の目的が「少なくとも部分的に」石油資源の掌握にあったと認めた。そのうえで、アメリカがベネズエラの国政を担い、「国を運営」し、自国の石油企業が参入できる環境を整えるとの意向を示した。 ただし、専門家の間ではこの計画への懸念も広がっている。複数の石油専門家はNPRに対し、中南米や中東におけるアメリカの軍事介入は歴史上、繰り返し失敗してきたと指摘した。ベネズエラは世界最大級の石油埋蔵量を誇る国だが、政情不安やインフラ老朽化を考えると、大手企業にとって確実な投資先とは言い難いのが実情だ。 ■世界埋蔵量の5分の1を占めるが生産能力がない 埋蔵量に見合った産出ができていないとするトランプ氏の指摘は、おおむね正しいと言えば正しい。 ベネズエラで確認されている原油埋蔵量は3030億バレルに達するが、アメリカのエネルギー省傘下の統計機関であるエネルギー情報局(EIA)によれば、これは世界全体の約5分の1を占める。単一の国としては世界最大の規模だ。 これに対し、実際の生産量は程遠い。CNNによると、現在の1日あたりの生産量は約100万バレルで、世界全体のわずか0.8%にすぎない。 これは2013年にマドゥロ政権が発足する前の水準の半分以下であり、さらにその前任者であるチャベス元大統領の政権下で記録した日量350万バレルと比べると3分の1以下にまで落ち込んでいる。 アメリカなどによる経済制裁や国内の経済危機に加え、長年にわたる投資不足と設備の保守・整備の放置によってインフラが劣化し、生産能力が大きく損なわれてきた結果だ。 ■「13万%インフレ」の悪夢 石油産業が衰退したことで、ベネズエラの国家経済は崩壊への道を辿った。アメリカのシンクタンクである外交問題評議会(CFR)は、ベネズエラを「失敗した産油国の典型例」と評する。政府予算の約3分の2を石油輸出に依存してきたベネズエラにとって、その収入源が断たれた代償は計り知れない。