オープンソースプロジェクトのソースコードがスタートアップにまるごと盗用された上に異なるライセンスを勝手に付けられる事態が発生して大炎上
by Ed End
開発者のsoham氏が、Daniel氏のスタートアップであるCluelyが発表したオープンソースプロジェクト「Glass」について、自身のコードを盗用したものであると告発しました。
Daniel氏は2025年7月3日に、「Glass」というリアルタイム会議アシスタントをわずか4日間で開発し、Apache 2.0ライセンスの下でオープンソースとしてリリースしたと発表しました。これは、画面キャプチャと音声分析を使ってビデオ会議やインタビュー、プレゼンテーションの内容に応じて、AIアシスタントがさまざまな対応をしてくれるというツールです。
しかし、soham氏はこれに対し、Daniel氏が4日間で開発したわけではなく、自身がGPLv3ライセンスで公開していた「cheating-daddy」という同様のリアルタイム会議アシスタントツールのコードを盗用しそれにApache 2.0ライセンスを付けて「スタートアップ」と称しているに過ぎないと強く非難しました。
GPLv3ライセンスが適用されたコードを利用して新たなソフトウェアを開発した場合、そのソフトウェアも同じGPLv3ライセンスで公開しなければならないというルールがありますが、Daniel氏らは互換性のないApache 2.0ライセンスでGlassを公開しており、これはライセンス違反であるとsoham氏はコメント。さらに、「GPLv3ライセンスのコードを盗用して、勝手にApache 2.0ライセンスで公開してから、Glassが普及するのを待ってクローズドソースに変えるのでしょう」と非難しています。 また、soham氏はソースコードだけでなく、コード内のコメントや使用しているライブラリのバージョンまで自身のプロジェクトと同一である点を指摘しました。soham氏は、Daniel氏のスタートアップに投資しているベンチャーキャピタルのY Combinatorとその代表であるギャリー・タンCEOに対して、「これがあなたの投資対象ですか?最低です」「正直なところ、今回の件はY CombinatorとタンCEOの評判に傷がつくものです」と述べています。
bad look for @ycombinator and @garrytan, honestlyto real builders out there, just build, it’s not that hardso many yc companies are just weekend wrappers,
this is just another example
— soham (@soham_btw) July 4, 2025
この騒動を受けて、Daniel氏はX(旧Twitter)上で、「Glassのリリース時に、soham氏がGPLv3ライセンスで公開しているcheating-daddyプロジェクトをApacheライセンスとして組み込んでしまいました。私たちの作業が不適切かつずさんでした」と謝罪のコメントをポストしています。
Hi everyone, this is Daniel from the Pickle team.
We messed up: when launching Glass we included code from @soham_btw's GPL project(@cheating_daddy) but labeled it Apache. This was incorrect and sloppy work on our end. We made a quick fix and are working right now to do a proper… pic.twitter.com/qNaxq6C8KA
— Daniel (@leinadpark) July 4, 2025
さらに、Daniel氏はソーシャルニュースサイトのHackerNewsで「当初の開発段階でGPLv3ライセンスのプロジェクトのコードを誤ってApacheと表記してしまいました。これは私たちの不注意による不備でした。すぐに修正を行い、現在、問題を完全に、そして明確に解決するための適切な修正作業を進めています。プロジェクトの元の作者であるsoham氏(cheating-daddy)には深くお詫び申し上げます」とコメントしました。しかし、HackerNewsでは「つまり、これは違法かつ非倫理的な仕事だということです」「他人の仕事と正義に対して少しでも敬意を抱いているなら、このまま続けるのではなく、心から謝罪し、プロジェクトを中止するべき」などの厳しい意見が寄せられています。
その後、「Glass」のライセンスは変更され、記事作成時点ではGPLv3ライセンスとなっています。また、GitHubリポジトリのREADMEには「このプロジェクトはcheating-daddyのフォークであり、修正と機能強化が加えられています。これを実現してくれたsoham氏とすべてのオープンソース貢献者に感謝します」「現在、コード全体のリファクタリングとモジュール化に取り組んでいます。完了次第、主要な問題への対応に着手します。作業中の問題と変更履歴は、このドキュメントの下部に記載されています」と追記されました。
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