【BCクラシック 一夜明け】フォーエバーヤング元気いっぱい 今後はサウジCへ直行 矢作師「元気であれば来年いっぱい走らせるつもり」

フォーエバーヤングと矢作芳人調教師=現地11月2日、米デルマー競馬場、撮影・千葉智春

【サンディエゴ(米カリフォルニア州)2日(日本時間3日)=千葉智春】ダート競馬の世界最高峰である米GⅠブリーダーズCクラシックを日本馬として初めて制したフォーエバーヤング(栗・矢作、牡4)は激戦の翌朝、デルマー競馬場の厩舎で元気な姿を見せた。

「全然、思ったよりもこたえていないです。びっくりするくらい元気です」と矢作調教師。「まだ実感がわかないですね。ただ、日本での報道が想像以上だったので、それだけのことだったんだなと、逆に報道から感じました」。最初に率直な心境を話し、インタビューの終盤に「マルシュロレーヌ(2021年ディスタフで日本馬のBC初制覇)で勝ったときに、僕としてはとんでもないことを成し遂げたと思ったんですけど、あまりに日本で報道されなかったのが寂しかったので、そのときと今回の違いにちょっと驚いています」と吐露した。出国は3日を予定している。

お披露目の後、矢作調教師は国内外のメディアの取材に応じた。

――今後のプランは

「おそらくですけど、サウジアラビア(サウジC)まで使わないで備えると思います」

――昨年はその前に東京大賞典を使ったが、なぜ変えるのか

「今回はあまりにギリギリまで究極に100%仕上げたので、その疲れを考えたいと思いました」

――直行でサウジCとすると、その後もキーンランド(2026年BC開催)に向かうなど、ある程度ローテーションを描いているのか

「まだサウジCの後にドバイ(ワールドC)。この2つだけです」

――ドバイワールドCの後に引退の可能性もあるのか

「いえ、馬が元気であれば来年いっぱい走らせるつもりです」

――今年もしかしたら米国の年度代表馬になる可能性があるが心境は

「僕が取るのではなく、馬が取るので、何とか本当に取りたいです」

――もし取ったら、日本の競馬にどんな意味をもたらすだろうか

「想像もできない…ですね…」

――昨年3着の後は、またここへ帰ってきたいという気持ちだったのか

「もちろんです」

――シエラレオーネが追い込んできたが、心配だったか

「心配でした。来るとしたらシエラレオーネしかいないと思っていたので」

――日本では大谷のドジャース(ワールドシリーズ連覇)とフォーエバーヤングのBCクラシックどちらが大きく報道されるだろうか

「ドジャースが勝ったのはうれしいですけど、これでニュースは持っていかれるのが残念です」

――矢作調教師は昨夜はどのように過ごしたか

「みんなでメキシコ料理に行って、野球を見ながら大騒ぎしていました」

――馬の方が先生よりいい状態、と

「そうですね(笑)。私よりいい状態です」

――弟子の坂井瑠星騎手とともに制して思うところは

「まあ、ジョッキーになる前から育ててきたわけで、よくここまでのジョッキーになってくれたなという思いです。それだけのジョッキーになったと思います」

――どのあたりに感じるか

「揺るぎない自信ですね。メンタリティと、それを実現する技術。それが素晴らしいと思います」

――自身が手がけたリアルスティールの産駒で制したことに関しては

「もちろんね、コントレイルやリアルスティール、モズアスコットと自分が育てた種牡馬の子で勝つことは、坂井瑠星を乗せて勝つのと同じように、ちょっと違う意味がありますよね」

――昨年のレース後、リアルスティール産駒なので古馬になっての成長が楽しみと。成長を感じる部分は

「フィジカルですね。肉体が明らかにすごくなって、こうじゃないとアメリカの古馬のダートで戦えないという体になりました。それときょうの感じもそうですけど回復力ですね」

――来年のBCはキーンランド。西海岸から東海岸に替わるのは大きな違いか

「そうですね。やはりウエストコーストでやるときは日本から近く、ヨーロッパから遠い。西海岸でやるときよりは行きづらくなることは確かですけれども、それもまたトライしてみたいなと思います」

――今後、芝という選択肢は

「使うとしても、どこかで1回だけと思っています」

――種牡馬のシンジケートはもう組まれていくのか

「まだこれからオーナーが交渉していくと思いますが、世界中に門戸を開いています」

――現在管理している2歳馬で来年、ケンタッキーダービーに来る馬はいるか

「たった28馬房しかないので、なかなかいないですね」

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