【BCクラシック 一夜明け】フォーエバーヤング元気いっぱい 今後はサウジCへ直行 矢作師「元気であれば来年いっぱい走らせるつもり」
【サンディエゴ(米カリフォルニア州)2日(日本時間3日)=千葉智春】ダート競馬の世界最高峰である米GⅠブリーダーズCクラシックを日本馬として初めて制したフォーエバーヤング(栗・矢作、牡4)は激戦の翌朝、デルマー競馬場の厩舎で元気な姿を見せた。
「全然、思ったよりもこたえていないです。びっくりするくらい元気です」と矢作調教師。「まだ実感がわかないですね。ただ、日本での報道が想像以上だったので、それだけのことだったんだなと、逆に報道から感じました」。最初に率直な心境を話し、インタビューの終盤に「マルシュロレーヌ(2021年ディスタフで日本馬のBC初制覇)で勝ったときに、僕としてはとんでもないことを成し遂げたと思ったんですけど、あまりに日本で報道されなかったのが寂しかったので、そのときと今回の違いにちょっと驚いています」と吐露した。出国は3日を予定している。
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お披露目の後、矢作調教師は国内外のメディアの取材に応じた。
――今後のプランは
「おそらくですけど、サウジアラビア(サウジC)まで使わないで備えると思います」
――昨年はその前に東京大賞典を使ったが、なぜ変えるのか
「今回はあまりにギリギリまで究極に100%仕上げたので、その疲れを考えたいと思いました」
――直行でサウジCとすると、その後もキーンランド(2026年BC開催)に向かうなど、ある程度ローテーションを描いているのか
「まだサウジCの後にドバイ(ワールドC)。この2つだけです」
――ドバイワールドCの後に引退の可能性もあるのか
「いえ、馬が元気であれば来年いっぱい走らせるつもりです」
――今年もしかしたら米国の年度代表馬になる可能性があるが心境は
「僕が取るのではなく、馬が取るので、何とか本当に取りたいです」
――もし取ったら、日本の競馬にどんな意味をもたらすだろうか
「想像もできない…ですね…」
――昨年3着の後は、またここへ帰ってきたいという気持ちだったのか
「もちろんです」
――シエラレオーネが追い込んできたが、心配だったか
「心配でした。来るとしたらシエラレオーネしかいないと思っていたので」
――日本では大谷のドジャース(ワールドシリーズ連覇)とフォーエバーヤングのBCクラシックどちらが大きく報道されるだろうか
「ドジャースが勝ったのはうれしいですけど、これでニュースは持っていかれるのが残念です」
――矢作調教師は昨夜はどのように過ごしたか
「みんなでメキシコ料理に行って、野球を見ながら大騒ぎしていました」
――馬の方が先生よりいい状態、と
「そうですね(笑)。私よりいい状態です」
――弟子の坂井瑠星騎手とともに制して思うところは
「まあ、ジョッキーになる前から育ててきたわけで、よくここまでのジョッキーになってくれたなという思いです。それだけのジョッキーになったと思います」
――どのあたりに感じるか
「揺るぎない自信ですね。メンタリティと、それを実現する技術。それが素晴らしいと思います」
――自身が手がけたリアルスティールの産駒で制したことに関しては
「もちろんね、コントレイルやリアルスティール、モズアスコットと自分が育てた種牡馬の子で勝つことは、坂井瑠星を乗せて勝つのと同じように、ちょっと違う意味がありますよね」
――昨年のレース後、リアルスティール産駒なので古馬になっての成長が楽しみと。成長を感じる部分は
「フィジカルですね。肉体が明らかにすごくなって、こうじゃないとアメリカの古馬のダートで戦えないという体になりました。それときょうの感じもそうですけど回復力ですね」
――来年のBCはキーンランド。西海岸から東海岸に替わるのは大きな違いか
「そうですね。やはりウエストコーストでやるときは日本から近く、ヨーロッパから遠い。西海岸でやるときよりは行きづらくなることは確かですけれども、それもまたトライしてみたいなと思います」
――今後、芝という選択肢は
「使うとしても、どこかで1回だけと思っています」
――種牡馬のシンジケートはもう組まれていくのか
「まだこれからオーナーが交渉していくと思いますが、世界中に門戸を開いています」
――現在管理している2歳馬で来年、ケンタッキーダービーに来る馬はいるか
「たった28馬房しかないので、なかなかいないですね」