24時間休みなく働く"人型ロボット" 中国の開発企業はなんと45万社…日本は遅れている現状も 「資金の集まる額が何桁も違う」

すでに人型ロボットの「販売」も始まっている中国。簡単な作業であれば、現場への導入も進んでいます。 「こちらの人型ロボットは、薬をつかんで運んでいます」 自動車製造工場への試験的な導入が控えるこのロボットは、1体約2000万円。 (客) 「ハイテクなものは手が届かないと感じていたが、ロボットが身近なものになっていると感じた」 「このようなロボットを買い、研究や遊びを通して子どもの好奇心を育てたい」 製造現場での人手不足を背景に、人型ロボットを国家戦略に位置付けている中国。 今や開発企業は実に45万社。

アメリカでも。走るのはもちろん、台の上でジャンプして、宙返りを決めます。 そして訪れたのは… (小川健太記者) 「UFOみたいな建物に大きなスクリーン。存在感抜群です」 電気自動車メーカーのテスラがハリウッドに作った、レストラン「テスラ・ダイナー」。 ここでは、テスラが開発した人型ロボットが客から容器を受け取り、ポップコーンを入れて渡す。センサーやカメラ、さらにAIで周りの状況を判断し、どう動くかを自分で決めるロボットです。 (イーロン・マスクCEO) 「20年後には人型ロボットが100億体以上になるだろう」


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今、各国が力を入れているのは、この人型ロボット。単なる夢や、技術のデモンストレーションではなく、労働の担い手として巨額の投資が行われています。そして、この分野で日本は遅れをとっているのが実情です。 工場での産業用ロボットでは、今も世界一を誇る日本。2000年代に入った頃に登場したのが、自律型の人型ロボット「アシモ」。自らバランスを取って走ったり、手を動かしたりと、その先進技術は世界を驚かせました。 しかし、開発は2022年で終了。日本の人型ロボットの第一人者、高西淳夫教授はこう話します。 (早稲田大学・高西淳夫教授) 「残念ながら20年前にピークを迎えて、せっかくその花が咲き始めたが、残念ながら(アシモを)利用する人たちがあまりいなかった」

現在ロボットの開発が行われている、茨城県つくば市の産業技術総合研究所。 (産業技術総合研究所・堂前幸康研究チーム長) 「産業用のロボットアームとか、腕の所ですね。人間のように例えば両手で作業したり、道具を使ったりというところで、工場でも物流でも家庭でも、人手不足が深刻化しているので、そういった行動ができるようなデータをたくさん集めている」 工場のような限定された場所ではなく、家や街中で動かせるロボットの研究がすすめられています。 2025年5月、長崎県の通称軍艦島で行われた四足歩行ロボットの実証実験。 被災地での活動を想定した実験ですが、このロボットは実は中国製。国産ではありません。 (高西教授) 「資金の集まる額の桁が何桁も違うんですよ、日本と…ベンチャー企業や若い人は、日本でやる気がないんじゃないですかね」

アメリカの物流倉庫で稼働する、身長175センチの人型ロボット。重さ140キロまで持ち上げられ、自ら充電を行って24時間休みなく働きます。 ドイツの大手自動車メーカーBMWも、2024年9月から生産ラインに人型ロボットを試験導入。これらは全てリモコンではなく、周りの状況を判断して自分で動いているのです。 人間から労働を奪う側面はありますが、単純労働をロボットに置き換えていくのは世界的な流れとなっているなか、問題は使うロボットが「国産」なのかどうかです。 (高西教授) 「ヒューマノイドは人が今までやってきたところを代替していくので、千差万別の応用があります。もう一回世界をリードする、日本のロボットにしたいと思います」 人口減少が先進各国で進む中、期待される人型のロボット。その開発競争の遅れを取り戻せるのか。国をあげての巻き返しが急がれます。

CBCテレビ

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