ベッセント財務長官、「FR日に指図していない」-利下げ要求を否定
ベッセント米財務長官は14日、連邦準備制度理事会(FRB)に一連の利下げを要求してはいないと述べ、予測モデルが示す「中立」水準が現行金利より約1.5ポイント低いことを指摘しただけだと話した。
前日のブルームバーグテレビジョンでの発言について、ベッセント長官は「FRBに指図したわけではない」とFOXビジネスとのインタビューで説明した。
「私が言ったのは、金利を中立水準にするには推定150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の引き下げになるということだ」とベッセント氏。 「その水準にするよう要求はしていない」と話した。
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中立金利とは景気を刺激も抑制もしない概念上の政策金利水準。パウエルFRB議長は7月30日、「米経済には現時点で、中立金利に対し幅広い見方がある」と述べ、自身の推計では現行の金融政策は「景気にやや抑制的」だとしていた。
ベッセント長官は14日、「中立金利の概念に基づけば」一連の利下げを行う「余地があると考える」と発言。「利下げを要求してはいない。要求しなかった。中立金利モデルは恐らく150bp低い水準を示していると述べただけだ」と話した。
連邦公開市場委員会(FOMC)は7月会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25-4.5%で据え置いた。数カ月前からパウエル議長をはじめFRB当局者の多くは、トランプ関税がインフレとインフレ期待に与える影響を見極める時間が必要だと主張している。
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14日午前の金利先物市場が織り込む年内利下げ幅は、累計で150bp未満。7月の生産者物価指数(PPI)を受けて、次回会合に向けた25bp利下げに対する市場の確信度は、やや下がっている。
元FRBエコノミストで、マクロポリシー・パースペクティブズを創業したジュリア・コロナド氏は、中立金利水準について「意見を述べるのは本来、財務長官の役割ではない」と指摘。「政権内で最高位の経済閣僚がこうした発言を公にした事実は、FRBに要望を直接的かつ公然に圧力をかけたことになる」と述べた。
ベッセント長官は14日、弱い雇用統計と何カ月も利下げを見送っている事実を踏まえ、「9月の50bp引き下げは恐らく適切だろう」とあらためて述べた。
マクロポリシーのコロナド氏は「経済的な論点を述べているだけだという主張は不誠実だ」として、「そのような主張をすること自体、本来の立場ではふさわしくない」と述べた。
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原題:Bessent Says He’s Not Pushing Fed Cuts, Just Touting Models (2)(抜粋)