「老けるくらいなら痩せないほうがいい」ルイ・ヴィトン本社の日本人社員にパリジェンヌの食後の強烈な一言 入社3年後には体重10キロ増に
「オフィスに座っていてもしょうがないでしょ。デジュネを重ねなさい」
「デジュネ(déjeuner)」とはフランス語で「ランチ」のこと。とにかく記者さんと一緒にランチをしろ、と言うのです。つまり、売り込み云々うんぬんの前に一緒にゆっくり食事をし、親しい関係になりなさいということです。言い方をかえれば、「同じ釜の飯を食え」ということになります。
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見ていると、確かに金髪美人の上司も毎日、毎日、会食でオフィスを空けています。なかなかつかまらないのでこちらは困るわけですが、彼女は決してほっつき回っているわけではありません。「ランチが仕事」と言い切る上司は、超優秀なPRなのです。
それからというもの、私もなるべくランチの予定を入れるようになりました。相手に「行こうかな」という気にさせるためには、場所の選定がとても大事です。美味しいビストロ、話題のシェフ、流行りのレストランを調べているうちに私も詳しくなり、「ランチ通」を誇るまでになったのはよいのですが、問題は他にありました。
お昼からしっかり食べ、時には食事と一緒にワインを飲んでいるうちに、みるみる体重が増えてしまったのです。入社1年後には2~3キロ増、2年後には4~5キロ増。ついに3年後に10キロ増ということもありました。
愕然がくぜんとした私は、慌あわててダイエットを決め込みました。まずは食事制限です。何よりもデザート抜きを徹底することに決めたのですが、これがかなり辛く、体重はなかなか減りません。
ある日のこと。アート業界の大御所であるマリアンヌと会食をしていた時の話です。デザートにタルトを注文する彼女を横目で見ながら、「私はエスプレッソで……」とギャルソンに言いかけると、マリアンヌは言いました。
「ここはデザートが美味しくて有名なのよ。あんたも食べなさいよ」
ギャルソンもそれに乗じ、
「季節の限定品ですよ~」
と甘い誘惑を囁ささやいてきます。そこまで言われちゃ、と私も同じタルトを注文し、
(あ~、またやってしまった…… )
と肩を落としていると、マリアンヌは不思議そうに言いました。
「何をそんなに意気消沈しているのよ」