ペンライトで一万人が「戦争反対」。なぜペンラ?発端は韓国の市民デモだった
三連休前の3月19日夜、国会周辺は色とりどりのペンライトの海となった。
議員会館前で1万1千人を超える人が、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃に反対の声をあげ、日本国内の憲法改正に向けた動きにも抗議した。
参加者はそれぞれ、自分の「推し」のアイドルや歌手グループ、アニメなどのペンライトを持ち寄り、平和への願いを叫んだ。
2024年末に韓国の大統領退陣要求デモで象徴的存在となった、ペンライトを使った抗議が、日本でも広がり始めている。
デモで使用する「ペンライト」には、「風が吹いても消えない」抗議の意思の象徴という意味が込められている。
このデモは元を辿ると、2016年に韓国で行われた、当時のパク・クネ大統領の弾劾デモに由来する。多くの人がろうそくを持ち寄り抗議したことから、「ろうそく革命」と呼ばれている。
これに対して、与党「国民の力」の議員が「ろうそくはろうそく。風が吹けば消える」と発言したことに反発し、人々が風が吹いても光が消えないペンライトを持ち寄り、抗議をし始めたのが発端だ。
2024年末のユン・ソンニョル大統領の退陣を求める市民デモでは、若者を筆頭に多くの人々がペンライトを持って抗議をする象徴的な映像が各国でも報道された。
日本でもこのペンライトデモが広まりつつある。3月10日に国会前で行われた、改憲に反対するデモには約8千人が集った。
19日の議員会館前でのデモで多く見られたのは、歌手グループやアイドルのペンライトだ。
人々はMrs. GREEN APPLEや嵐、SixTONESなどの日本の歌手グループやアイドル、SEVENTEENやNCT、SUPER JUNIORなどの韓国のアイドルのペンライトを手に反戦を訴えた。
他にも、サンリオなどのキャラクターやアニメ、ミュージカルなど各々の「推し」のペンライトを持ち寄った。
嵐のペンライトを持って参加した女性は、「一人で参加しましたが、これだけ多くの人が参加しているのを見て、本当に心強い思い。元保育士なのですが、80年間守ってきた平和を子どもたちにも残すことは大人の責任だと思って来ました」と話した。
Mrs. GREEN APPLEのペンライトを持っていた女性は、「戦争は嫌だし、平和を守ってきた憲法9条を守りたいという思い。どうかこの声が(政府にも)届いてほしい」と語った。
女性は3月10日の国会前でのデモにも参加。SNSでは、推しのアーティストのペンライトを持って参加することに対する反対の声も見たというが、「アーティストに迷惑をかけるという声もあるけど、平和でなければ推し活もできなくなる」と思いを語った。
SixTONESのペンライトを持って仕事終わりに1人で参加した28歳の女性は、取材に対し「ペンライトでのアクションは、若い人も参加しやすいのではと思う。他の若者も来やすくなればと感じ、一人ですが足を運んだ」と話した。
一人で来た参加者も多かったが、同じ推しグループのペンライトを持っている人に話しかけ、一緒に抗議に参加する姿も見られた。
SNSでも、デモで撮影した、推しのペンライトの写真をアップし「オタク、戦争を止めに来た!」「ペンラすごい!どこの?かわいい〜とか言い合うオタクの集まり、平和でよかった」などの声が寄せられている。
推しがいなかったり、推しのペンライトがない人たちも、様々な市販のペンライトや、アニメの変身道具のライトなどのおもちゃを持ち寄った。
プラカードを自作して、市販のペンライトと一緒に持参した人たちもいる。
作家の仕事をしているという女性は、自作のイラストに「NO WAR ! WE WON’T SHUT UP(戦争にNO。私たちは黙らない)」「STOP VIOLENCE(暴力を止めろ)」と書き添えたプラカードを掲げた。
SNS上では、イラストレーターやアーティストが戦争反対を訴える自作のアートやプラカードをアップする動きも広がっている。
改憲に意欲を見せる高市早苗首相は3月20日、アメリカでトランプ大統領と会談した。
イランへの攻撃は続いており、3月25日には国会議事堂前で再び、大規模な抗議集会が行われる予定だ。