マツダ、発売前の「ロードスター12R」がグランツーリスモ7の9月アップデートで登場 ポリフォニーデジタル東京スタジオで体験してみた
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、PS5/PS4用ソフトウェア「グランツーリスモ7」のアップデートを9月24日の15時ごろに行ない、新規収録車種として「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R」を追加する。このアップデートに先駆け、マツダは東京都江東区のポリフォニーデジタル 東京スタジオで報道関係者向けの体験会を実施した。
2025年1月の「東京オートサロン2025」で発表した「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」は、MAZDA SPIRIT RACINGが手がけるスペシャルモデルの第1弾。マツダの2ドアソフトトップオープンカー「ロードスター」をベース車両として、電動ハードトップモデルの「ロードスター RF」で採用する直列4気筒DOHC 2.0リッター自然吸気エンジンを搭載。
強化されたエンジン出力に対応するため足まわりにも改良が施され、レッド塗装された前後ブレーキは、フロントがブレンボ製のベンチレーテッドディスク&対向4ピストンキャリパーとなり、リアも大径ブレーキローター&キャリパーを採用。
サスペンションはビルシュタイン製の車高調整式ダンパーを装備して、減衰力特性とバネレートが専用セッティングとなっている。また、ボディではトンネルブレースの板厚アップを行なってボディ剛性を向上させた。
外装はスーパー耐久シリーズの「ST-Qクラス」参戦で得た知見を反映し、風洞実験施設やサーキットでの実車テストを重ねて開発した専用エアロパーツを装着。前後の空力バランスやダウンフォース、ドラッグなどを最適化して、高速走行時の高い安定性と操縦安定性を実現したという。
装着するホイールもスーパー耐久シリーズ・ST-Qクラスに参戦する12号車で採用しているデザインを踏襲して、レイズ製の「TE37」をベースとした専用ホイールを新規開発。高剛性とバネ下重量の軽減を両立している。
インテリアは、シート表皮やステアリング、シフトノブ、センターコンソールなどのトリム類にアルカンターラ素材を使用して防眩性と操作性を高める。
さらに200台限定となるロードスター2Rでは、エンジンに専用のカムシャフト、シリンダーヘッド、ピストンなどを組み込み、バンテージ巻きの専用エキゾーストマニホールドを装着して最高出力147kW(200PS)を発生。
外観は専用エアロパーツがグレー塗装となり、切削加工仕様の専用ホイールを採用。車内には日常的な乗降性能とサーキット走行時のホールド性を両立する専用設計のレカロ製フルバケットシートを装着する。
体験会ではマツダ ブランド体験推進本部 ブランド体験ビジネス企画部 林涼太氏が解説を担当。林氏は最初にロードスター 12Rの概要を紹介して、このクルマはマツダがレース活動で培ってきた技術とノウハウを惜しみなく注ぎ込んだロードスターの特別仕様車であり、スーパー耐久シリーズ・ST-Qクラスに参戦する12号車からフィードバックした要素も織り込んで走りの質感を徹底的に磨き上げていると説明。
そんなロードスター 12Rがグランツーリスモ7に収録されることになった理由としては、マツダが本気で造り上げた限定200台の特別仕様車をより多くのユーザーに体感してほしいと考えたと述べ、実車に限りなく近い走行体験をしてもらえるよう、実車の開発に携わったマツダのスタッフが走行性能やサウンド、内外装のデザインなどの要素を監修。ゲーム内でもロードスター 12Rが持つ魅力をしっかりと体感できる仕上がりになっていると語った。
また、マツダからのデータ提供と監修などを受けて仕上げられたグランツーリスモ7内のロードスター 12Rを、この体験会に先立って自身やマツダの開発ドライバーなどでテスト試乗させてもらったところ、再現度の高さに思わず笑顔が止まらなくなったとのエピソードを明かし、試乗後にブレーキによる制動力とエンジン出力のトルクカーブに関して微調整を依頼して完成状態になったという。
ゲーム収録に向けては監修以外にも協力を行ない、神奈川県横浜市にあるマツダR&Dセンター横浜で内外装を3Dスキャニングしてデータ化。また、広島県安芸郡にあるマツダ本社敷地内の無響室でエンジンサウンドを収録している。
ロードスター 12Rは、9月24日の15時ごろを予定するアップデートで追加され、グランツーリスモ7内の販売価格は12,000,000クレジット。「ブランドセントラル」で購入できる。発売前のロードスター 12R開発車両をベースとしていることからスペックについては非公開となり、ゲーム内に収録される車両と市販車両で一部に仕様が異なる部分がある。また、まずはロードスター 12Rの素の状態を体験してもらいたいとの考えから、アップデートによる追加から一定期間はチューニング不可の状態に設定される。
このほか、10月4日~5日に富士スピードウェイで開催される参加型ブランド体験イベント「マツダファンフェスタ2025 at 富士スピードウェイ」の会場に用意される「シミュレータートラック」でも体験試乗を実施予定となっている。
30分ほどの時間で行なわれた体験会では、自分1台だけで走る「タイムトライアル」モードを選択。筑波サーキットを舞台に、最初に同じND型ロードスターで1.5リッター自然吸気ガソリンエンジンを搭載する「NR-A」でドライビングしたあと、本題であるロードスター 12Rを体験。そこから3周ずつ交互に乗り比べていった。
ロードスター 12Rではエンジンの変更と排気系のチューニングで野太くなったエンジン音がローリングスタート直後から印象的に響くことに加え、画面内に表示されるステアリングの0時位置にある赤いセンターマーカーが存在感を発揮。集中して運転している場面でも視界に入っているマーカーの存在で自分がどの程度ステアリングを切り込んでいるか直感的に分かり、同一デザインでマーカーがないNR-Aと比較するとサーキット走行のようなシーンでとくに大きな効果があると感じた。
排気量が増えて出力が向上した一方、エンジンが重くなった影響で旋回性は下がったりするのかと思いきや、むしろ12Rの方がステアリングの切り始めからリニアに旋回力が発生して軽妙なハンドリングを見せることに驚かされた。
この点について体験後に林氏に質問したところ、基本となるタイヤのグリップ力がNR-Aの「ポテンザ・アドレナリン」相当のところから「アドバン・ネオバ AD09」相当に向上しているほか、12Rは車高調整式ダンパーの設定で車高が低くなっており、減衰力特性もNR-Aよりハードの引き締められていることが大きな要因だと説明された。
しかし、低速旋回となるバックストレート前の第2ヘアピンでは、減速が足りずアンダーステア状態になったようなシーンで、12Rの方が走行ラインがアウト側にふくらむ傾向が強く、エンジン重量が増えた影響がまったくないわけではないことも感じられた。
サーキット走行だけの印象としては、12RはNR-Aよりも一体感が高く、高出力エンジンのスペックをしっかりと受け止める足まわりが与えられて、より運転を楽しめるモデルに進化していると感じた。ロードスター 12Rに興味がある人は、間もなく行なわれるグランツーリスモ7のアップデートで実車発売に先駆けて体感していただきたい。
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