【阪神】佐藤輝明が明かす両リーグ断トツ19本塁打の要因「右足を軸に」単独インタビュー

 阪神・佐藤輝明内野手(26)が24日、スポーツ報知の単独インタビューに応じ、本塁打量産の要因を激白した。今季は出場69試合で打率2割7分9厘、両リーグ断トツの19本塁打、同トップタイの49打点。打撃フォーム改造、また“米メジャー流”に対する考え方の変化が進化につながっていた。27日のヤクルト戦(神宮)から再開のリーグ戦に向け、この日は甲子園での全体練習に参加。1986年のランディ・バース以来、球団39年ぶりの本塁打王を目指して突き進む。(取材・構成=中野雄太、直川 響)

 今年の佐藤輝は、ひと味もふた味も違う。21、23年の自己最多24本塁打を大きく上回るペースで、豪快なアーチを量産している。交流戦でもトップの6本塁打。課題だった好不調の波も少ない。

 「今までで一番、考えていることと、できていることが一致している。打率も、ホームランも、いい感じ」

 昨季は不振で2軍降格を味わうなど、自己最少の120試合出場で同最少の16本塁打。リーグ連覇もかなわず、二重の悔しさを経験し、現状を打破するためフォーム改造を決意した。

 「軸足(左足)に(体重を)残しすぎないフォームを意識している。今もちょっとあるけど、(バットを振り出す際に)左肩が出てきてしまうのが、去年までの悪い特徴だった。球の見え方が変わるし、詰まったり、空振りしたりする確率が高くなる。軸足に残りすぎるとそうなる。その修正というか、今は右足を軸にして回るイメージ。去年とは違う、いい感覚が出ている」

 昨オフから取り組んできたテイクバックを小さく、右足をほぼ上げずにステップする形も、良い効果を生んでいる。全てが連動し、中堅から左翼方向に伸びる打球にもつながっている。

 「ステップの幅を広げたくないというのがある。広くなると目線のズレもそうだし、手も(体から)離れていっちゃう癖もあった。去年から大きく変えたうちの一つ。いろいろ考えて、今これに行き着いている」

 米ドジャースの大谷翔平やフリーマン、フィリーズのハーパー…。MLBで活躍する同じ右投げ左打ちのスターたちを参考にするスタイルは不変だが、その考え方は少し変わってきた。

 「メジャーのピッチャーと日本のピッチャーは違う。向こうのバッターは軸足にも(体重を)乗せず、構えからそのままイチ、ニで打つバッターが結構多い。日本でそれをやると、フォームがゆったりしているピッチャーが多いので、タイミングが合わなかったりする。完全に向こうのマネだけしていてもダメだな、というのはある。今までやろうとして、ちょっと崩れたりとかもしていたけど…」

 開幕は「3番・三塁」で迎えたが、現在は「4番・右翼」。交流戦を終え、2位のDeNAと広島に3・5ゲーム差をつけて首位を走るチームには、頼れる主砲が君臨している。球団では86年のバース以来、39年ぶりとなる本塁打王への期待も高まるが、最大の目標は2年ぶりのリーグ優勝奪還。27日のヤクルト戦から再開するリーグ戦を前に、佐藤輝は藤川監督への思いを明かした。

 「常に選手のことを気にして、普段から声を掛けてくれる。僕が打てないときとかも『気にするなよ』と言ってくれるし、その言葉が大きい。失礼かもしれないけど、勉強しながら、いい方向にいくように考えながらやっているんだなというのが伝わってくる。そうやって、いい方向に引っ張っていってもらえたら僕たちもやりやすい。それに、しっかり応えられるようにやりたい」

 ◆佐藤 輝明(さとう・てるあき)1999年3月13日、大阪・大東市生まれ。26歳。甲東小6年時にタイガースジュニアに選出。仁川学院(兵庫)では通算20本塁打。甲子園出場はなし。近大では2年秋、4年秋に最優秀選手。関西学生リーグ通算14本塁打(82年発足の新リーグ記録)。20年ドラフト1位で4球団競合の末に阪神入団。187センチ、95キロ。右投左打。推定年俸1億5000万円。独身。

 〇…佐藤輝は24日、今春キャンプでも使用したクリケットバットで打撃練習し、手のひらより少し大きい、ミニサイズの練習用グラブでノックを受けた。大谷と同様に打席に入る前、素振りに似た動作で体の動きを以前から確認していることについて「体を回してからバットが出るイメージ。同じイメージでやれば、何か分かるんじゃないか」と意図を説明した。

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