「熱量」では圧倒 自民総裁選、SNSで最も話題さらった候補者は?
自民党総裁選が4日に投開票され、高市早苗前経済安全保障担当相が新総裁に選ばれた。情報分析会社ジャパン・ネクサス・インテリジェンス(JNI)が、選挙期間中(9月22日〜10月4日)のX(ツイッター)など交流サイト(SNS)の投稿を分析したところ、投稿数や反応数では、決選投票で敗れはしたものの小泉進次郎農相に関する投稿が他の候補者を「熱量」では圧倒していた。
数値≠支持
調査結果によると、投稿や書き込みの数を示す「言及量」の総数は約950万だった。
そのうち小泉氏関連の言及は約560万と全体の6割近くを占め、高市氏は約255万で大きく差が開いた。林芳正官房長官(約83万)、茂木敏充前幹事長(約34万)、小林鷹之元経済安保担当相(約18万)と続いた。
Advertisementまた、投稿がどれだけのユーザーに表示されたかを示す「推定リーチ数」でも、小泉氏が全候補中で突出していた。
さらに、リポストやリプライ、オリジナルポスト、引用ポストを合計した「エンゲージメント総数」でも小泉氏が約235万と、約82万だった高市氏の3倍近くに達した。
発言への反応や議論の広がりは小泉氏が明らかに上回り、SNS上では小泉氏が圧倒的な存在感を示した。
ただ、総裁選の期間中、小泉陣営がインターネット上の配信動画に小泉氏を称賛する投稿を促す「やらせコメント」問題が発覚し、SNS上では言及が相次いだ。
集計された数値には、批判的な投稿や皮肉るような内容も含まれるため、ネット上の熱量がそのまま世論の支持の厚さに直結するわけではないという。
JNIのヘッドアナリストの竜口七彩さんは「あくまで言及量の増加は関心の広がりを示すもの。『炎上』も反映していると考えられる」と分析する。
プラットフォームによる違いも
SNSのプラットフォーム別の傾向をみると、即時拡散力の高いXが全体をけん引した。
一方、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」では若年層を中心に盛り上がりを見せ、候補者の演説や発言の一節が切り取られて短尺動画化される動きも目立った。
党総裁選の演説会で、高市氏が外国人を念頭に「奈良のシカを蹴り上げるとんでもない人がいる」と語った言説を巡っては、若者ユーザーが多いティックトックやXでは肯定的な意見が多い傾向が見られたのに対し、中高年のユーザーが多いとされるFacebookでは批判的な投稿が目立つなど、プラットフォームによる違いが表れたという。
一方、5人の候補者に言及した「言及量」を、昨年行われた前回の総裁選(2024年9月12〜27日)と比較すると、5人の候補者のいずれも増加していた。
竜口さんは「政治的言論空間がSNS上で拡大している可能性はある」と話した。【隈元悠太】