富田隆弥の【CHART CLUB】 4万円台乗せも、7月はピーク形成のサインに注意

株式評論家 富田隆弥
「4万円台乗せも、7月はピーク形成のサインに注意」

◆先週18日に上放れを示唆した日経平均株価。23日まで一息入れたが、26日時点で3日続伸と上昇を加速、上値を3万9615円まで伸ばし4万円回復も時間の問題となってきた。まさにサマーラリー。4万円の大台に乗せると、マスコミの株高報道にも煽られて市場は活気を増すことだろう。年初来高値(1月7日の4万0288円)更新から昨年7月11日の史上最高値4万2426円を目指して騰勢に弾みがつく可能性もある。

◆ただし、チャート的には7月の上昇加速に対しては「当面の高値接近」という逆張り的な見方も必要になる。昨年7月高値から約1年、12月27日高値からは半年が経過した。さらに4月7日の年初来安値3万0792円からは来週が13週目と日柄でポイントになりやすいタイミングでもある。

◆ちなみに1年前のこの時期の相場を振り返ると、米国でエヌビディア<NVDA>などAI(人工知能)半導体関連株が上昇。また、マイクロン・テクノロジー<MU>が好決算で、テスラ<TSLA>はロボタクシー発表が8月に迫ったことも追い風となり上げ足を速めていた(なお、7月11日にロボタクシー発表は10月への先送りが明らかとなり、テスラの株価は調整入りする)。日本では、為替が38年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に乗せ、ハイテク関連や大手電線株が買われた。そして、日経平均株価の上昇に寄与したのがソフトバンクグループ <9984> [東証P]やファーストリテイリング <9983> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]の値がさ4銘柄だった。

◆1年前といまの地合いはよく似ている。エヌビディアの騰勢、日経平均株価の上昇に寄与する4銘柄など重なる事象は多い。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「利下げに動くには確信が必要」と語る中で、マーケットが利下げを先取りしている点も似ている。

◆人気(強気)が偏ると注意を必要とするのは相場の常である。7月4日の米独立記念日を過ぎると外国人投資家は「バカンス(夏休み)」を意識し始め、そして日本株は「調整しやすい夏休み」を迎える。サマーラリーの様相を呈している株式市場だが、7月はチャートが発するピ-ク信号にも注視したい。 (6月26日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

株探ニュース

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