公益通報の外部窓口、大半の警察なし あっても「身内」の閉鎖性
「公益通報」を問う
公益通報制度が多数の警察で形骸化している――。
全国の都道府県警に対する毎日新聞の調査で、内部からの通報件数が極めて少ない実態が判明した。
その原因を探ると、通報者が特定される「身バレ」の恐れや「もみ消し」のリスクがある構造的な問題が見えてきた。
大川原化工機事件で起きたこと
「あなたが警視庁職員であることを確認できる情報を提供していただきたい。氏名や職員番号を教えていただけないか」
警視庁公安部による大川原化工機冤罪(えんざい)事件では判決で違法捜査が認定される前、捜査の違法性を捜査員が匿名で公益通報したところ、通報窓口となる監察部門の人事1課職員が身分を明かすよう通報者にしつこく求める出来事があった。
公益通報は起訴の5日前にも行われていた。捜査員が違法捜査を匿名で通報したが、いずれも人事1課が調査に動いた形跡はなかった。
公益通報は実名に限定されておらず、匿名でも可能だ。身元の特定は通報をためらうことにつながりかねない。警視庁の対応は専門家に「公益通報者保護法の理解を欠いている」「適切に対応していれば、冤罪をもっと手前で止められた」と批判された。
通報1件以下の警察の9割が外部窓口設けず
大川原化工機事件で起きた公益通報の問題は、全国の警察に通底する。
今回の調査で明らかになった通報受理体制を分析すると、まず浮かび上がるのは、その閉鎖性だ。
すべての警察が通報を受け付ける窓口を、職員の非違行為を調査する監察部門に置く。
通報窓口は弁護士事務所などの外部にも置けるが、47都道府県警のうち30府県警は置いていなかった。
外部にも置いていたのは17都道県警で、全体の36%にとどまる。
2020~24年度の5年間で通報件数が0件または1件だった19府県警のうち18府県警は当時、外部窓口を設置していなかった。
記事の後半では「閉鎖性」の問題をさらに掘り下げていきます。主な項目は以下の通りです。 ・外部窓口も「第三者」と言いがたい実態 ・職員が外部窓口への通報を「前さばき」
・職員家族に手紙を送る、ある県警の取り組み