コラム:トランプ氏の自動車関税政策が急転換、メーカーと投資家は「車酔い」
[香港 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領による自動車関税政策の急激な方針転換には誰もが「車酔い」した。最新の通商合意では日本から米国に輸出する自動車への関税率が累計27.5%から15%まで引き下げられることになり、米国の現地生産向け投資が少ないメーカーは一息つけそうだ。しかしこの安堵感は長続きしないかもしれない。
一部のメーカーは急な方向転換にも耐えられる。例えばトヨタは3月末までの12カ月間の米国での販売台数が230万台、北米での生産台数は210万台に上るが、生産を現地工場だけに頼っているわけではない。シティによると、実際には2024年は米国での販売の24%が日本からの輸入車だった。世界最大の自動車メーカーであるトヨタは利益率もホンダや日産より高く、直近の会計年度の営業利益率は約10%に達しており、関税引き上げに伴うコスト増の吸収がずっと容易だ。
長期的には、自動車メーカーは米国内への投資を増やすことが最も単純な解決策だと判断するかもしれない。トヨタや現代など複数のメーカーが既にその方向へと動き始めている。しかし生産拡大には数年を要し、その間、自動車メーカーと投資家は「むち打ち症」に悩まされることになりそうだ。
発表を受けて同日の株式市場ではトヨタ自動車や三菱自動車など日本の自動車メーカーの株価が軒並み大幅上昇した。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
このような詳細な洞察については、クリックしてください ここ, opens new tab Breakingviews を無料で試してください。
ロイターBreakingviewsは、重要な争点となるべき金融に関する知見を提供する世界有数の情報源です。1999年にBreakingviews.comとして設立。2009年にトムソン・ロイターが買収、金融コメンタリ―部門としてロイターブランドの一員となりました。日々の主要金融ニュースについて、ニューヨーク、ワシントン、シカゴ、ロンドン、パリ、マドリード、香港、北京、シンガポールに駐在するコラムニストが、専門的な分析を提供します。英文での最新コラムを掲載した電子メールの定期購読を含め、breakingviews.comの解説や分析(英語)をすべてご覧になりたい方は、[email protected]までご連絡ください
Katrina Hamlin is global production editor, based in Hong Kong. She is also a columnist, writing on topics including autos and electric vehicles, as well as the gambling industry in Macau and Asia. Before joining Reuters in 2012, Katrina was deputy managing editor of Shanghai Business Review magazine. She graduated from the University of Oxford with an MA in Classics, and earned a Masters of Journalism with distinction from the University of Hong Kong.