ボーナスカットなのに社長は高級外車を乗り回す…全社員のやる気を奪う「ダメ社長」の6つのNG行動(プレジデントオンライン)
企業が成長できるかどうかを握るのは、トップの社長だ。ラーニングエッジ代表の清水康一朗さんは「もともとは優秀なリーダーでも、組織が大きくなるにつれて『ダメ社長』化するケースは少なくない」という――。 【図表をみる】「ダメ社長」チェックリスト ※ 本稿ではプライバシー保護のため、氏名は仮名としています。 ■全部うまくいかない、その原因は「社長」 企業の成長を妨げる「ダメ社長」。社員のやる気を奪うトップの特徴や、また会社をダメにしてしまう社長はどんな人物か……。 その実態と共通点を、実際にお問合せいただいた具体事例からお伝えします。 今回、ご相談があったお客さまのクライアント会社のお話です。 東京都内に本社を構える業務システム開発会社。従業員数は150名ほど。創業12年目を迎え、第二創業期として事業拡大が期待されていた――はずでした。 しかしここ数年、離職者数が急増し、評価制度への不満が噴出。プロジェクトの遅延が常態化し、成長曲線も鈍化していきました。その背景には、社員のほぼ全員が“口には出さないが共通して抱いている確信”がありました。 「うちは社長が問題だ」 同社の代表取締役、大橋泰三さん(55歳・男性)。創業当時はカリスマ的な行動力で社員を引っ張り、仕事には人一倍厳しくも、頼れるリーダーでした。しかし会社が大きくなるにつれ、そのリーダーシップスタイルは徐々に組織の成長を妨げる方向へと変わっていきました。 では実際に、社内で実際に起きたエピソードを交えながら、“ダメ社長”の共通点を見ていきましょう。
■混乱を生むだけの「戦略会議」 ① ムダな会議の乱発 大橋さんが最もこだわるのは「社長主導の戦略会議」。週2回、部長以上の12名を集めて行われますが、実態は“社長の雑談タイム”に近いです。 営業部長・木島さん(42歳・男性)は苦笑しながらこう語ります。 「会議のたびに資料を作って臨むんですが、結局は社長の思いつきの話が90%です。『昔の顧客は熱意を感じてくれた』とか『俺が若いころはなぁ……』という昔話ばかり。2時間終わっても結論は何も出ないんです」 ある日は「次は海外展開だ!」と言い、翌週には「いや、国内の地方市場が伸びる」と言い出します。そのたびに部長陣は右往左往し、会議後に現場の混乱を収拾するのに追われました。 ② 部署や組織を頻繁に改変 会社が落ち着きを取り戻せない最大の理由が、大橋さんの“組織いじり”でした。わずか1年の間に、営業部は3回体制が変わり、開発部は2回統合と分割を繰り返しました。 開発主任・村瀬さん(37歳・女性)はこう語ります。 「やっと担当が固まったと思ったら、翌月には“開発スピードを上げるため”と別部署に再編。説明も曖昧で、目的も不透明だから、社員は“どうせまた変わる”と腰を据えて仕事ができません」 部署変更が続くことで責任範囲が不明確になり、業務の抜け漏れ、モチベーション低下が連鎖していきました。 ■「ポケベル時代」の武勇伝を語り継ぐ ③ 話す事例が古すぎる 社内では、大橋さんの「古い事例問題」はよくネタにされていました。 朝礼や会議で彼が語るのは、2000年代初頭のベンチャーブームの成功体験。FAXでの営業資料送付、ポケットベルを持ち歩いていた時代のエピソード、飛び込み営業で受注を勝ち取った武勇伝――。 入社3年目の若手社員・高山さん(28歳・男性)はこう言います。 「正直、参考にならないんです……。SNS、オンライン商談、広告自動化の時代に、精神論だけ語られても、何を学べばいいのかわからない」 最新の市場動向を理解していないトップが判断するため、戦略そのものが時代遅れになっていきました。