モー娘。北川莉央さん裏アカ「流出させた人」に法的責任は?メンバーに対する「悪口」で活動休止に
アイドルグループ「モーニング娘。'25」の北川莉央さんが活動を休止すると、4月17日に発表された。
北川さん本人とみられるSNSのやりとり画像が流出し、その内容がメンバーに対する「悪口」などだったことから話題となっていた。
北川さんも4月14日、自身のブログ上で「すべて私が書いたもので間違いありません」と認めている。
ブログによると、「約2年前、友人とSNSを通じて日常や仕事で起きた出来事を送り合っていました」という。
深く反省しているようだが、一方で、この画像を流出させる行為は法的に問題ないのだろうか。河西邦剛弁護士に聞いた。
●流出させた人は「法的責任」を問われる
流出した北川さんの言葉は、同じメンバーに向けられた内容もあり、そのまま受け取れば、メンバーはとても傷ついて、そのことを思うとファンの方々も悲しい思いをしたと思います。
ブログでは「友人とSNSを通じて日常や仕事で起きた出来事を送り合っていました」とあるので、友人がスクショを上げたのか、その友人が第三者に提供して…というのが、流出経緯だと思われます。
結論から言うと、このような内容をSNSに流出させた人は法的責任を問われる可能性があります。
北川さんのブログによると、本人が裏アカでSNSに直接投稿していたのではなく、友人と送り合っていたものが流出したことになりそうです。
一般に、職場の先輩の悪口を家族や知人に言うということは、どんな職場でも日常的に起きていることです。ただ、それでも悪口を言われている本人に届けば傷つくことになります。
今回もネット上に流出されれば、言及されているメンバーが傷つくことは言うまでもなく、流出させられた北川さん自身も傷つくことは容易に想定できます。
こうしたことをすべて予見しながら、スクショを流出させたと考えられます。その動機はわかりませんが、いずれにせよ、正当な根拠はないと思われます。
●名誉毀損が成立する可能性がある
まず、刑事上でも民事上でも、北川さんに対する名誉毀損が成立すると考えられます。
名誉毀損罪(刑法230条)は、社会的評価を下げる事実を摘示することで成立します。
今回は、北川さんがメンバーの悪口を言っているスクショになるので、SNSに投稿することで「北川さんはメンバーの悪口を言う人」という事実を指摘し、北川さんの社会的評価を下げています。したがって、投稿行為は名誉毀損にあたります。
ただし、名誉毀損は(1)公共性があること、(2)公益目的があること、(3)真実性があること、すべてが認められれば、違法性が阻却されます。
しかし、今回の内容は(3)真実性はありますが、(1)公共性や(2)公益目的はないと考えられます。
名誉毀損罪が成立すれば、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金となります。また、民事上も不法行為として損害賠償請求される可能性があります。
●流出の責任を追及するような表現はなかった
一方で、今回の事務所の発表にも、本人のコメントにも、流出させた人についての責任を追及するような表現はありませんでした。
流出した内容が事実である以上は、流出させた人に対する責任追及を表明したとしても、ファンビジネスをしている芸能事務所やメンバーにとってメリットにならない、という経営判断と思われます。
また仮に所属事務所が指摘すると逆に「反省していない」「責任転嫁だ」と一部ファンから声が上がることを懸念した可能性があります。しかし、SNSに流出させた人の法的責任と、北川さんのアイドルとしての責任はまったく別です。
●メンバー間で対話を重ねることが糸口になる
所属事務所の発表では「北川が猛省し自身を見つめ直すための期間にするべく、活動をしばらくの間休止いたします」としています。
猛省により清廉潔白なアイドルに生まれ変わるというのはむしろ現実的ではない気がします。
そもそも今回アイドルとしての責任、つまり猛省の対象としては、具体的には(ⅰ)交友関係に気を付けること(ⅱ)SNSの使い方ということになるでしょう。ただ、これは誰にでも当てはまることです。
二人だけの会話だと思っていたら、相手が秘密に録音していてネットに上げるということは容易に起こりえますし、信頼できる相手を見極めるというのは容易ではありません。
また、「活動再開の時期については、改めてお知らせいたします」とし活動再開を前提としています。
今回の本質は、結果的に他のメンバーを傷つけたことである以上、直接傷つけたメンバーだけでなく、他のメンバーも含め、北川さんとの今後の活動を受け入れられるかだと思います。
つまり、ファンの中ではいつまでも活動再開についての賛否は分かれ続けるでしょうから、メンバーの理解と納得が得られるというのが、再開の条件ではないでしょうか。
一人一人に良いところもあれば、そうでないところもあるものです。すぐにとはいかないと思いますが、メンバー間での対話を重ねて、表面的なものではなく、お互いへの理解を深めていくことが糸口になってくるでしょう。
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