元賞金女王&東京五輪銀メダル 稲見萌寧の現在地「何を直したら…」最下位発進で悩み打ち明ける

<国内女子ゴルフツアー:CATレディース>◇第1日◇22日◇神奈川・大箱根CC(6652ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円) 【写真】4番、ティーショットを放つ稲見  コロナ禍の試合数減少により、シーズンが統合された20-21年の賞金女王で、21年東京オリンピック(五輪)銀メダルの稲見萌寧(26=フリー)が、単独最下位の105位と大きく出遅れた。バーディーなし、5ボギー、2ダブルボギーの81。3月の今季開幕戦、ダイキン・オーキッド・レディースの第1ラウンドで82をマークして以来、今季ワースト2番目のスコアだったホールアウト後、現在の悩み、思いを打ち明けた。  稲見 ショットが、ずっと探り探りで、毎日、違うことを意識してみたり、という感じで。うーん…。ドライバーは最近、ずっと曲がっていなくて、でも、アイアンが全然グリーンに乗っていなくて。それで、いろいろとやってみたら、今日の最初の方は、ドライバーも曲がっちゃったので…。かみ合わないというか、全然うまくいかないですね。直すところが多くて、もう、パンク中です(苦笑)。もう1回、考え直さないとな、っていう感じです。  ショットの悩みの深刻さをうかがわせた。加えて不運もあり、一段とスコアを落とした。  稲見 (ダブルボギーとした)11番(バンカー)で、ボールが見えないぐらい“目玉”になって、競技委員さん呼んで、ボールを探して。で、アンプレ(アンプレヤブルを宣言)してという感じでした。  スイング改造も試行錯誤しながら、良い感覚を取り戻そうと必死にやってきた。  稲見 良かった時と比べながら、マネしてみたり、同じ意識で(スイング)してみたり、とやっているんですけど、悪い感覚が、なかなか抜けない。だから、同じことをやろうとしても、全然できなかったり、という感じです。前の“いい時”を求めるべきなのか、もう1回つくって、良くしないといけないのか。それも悩み中。  21年だけで8勝、20-21年シーズンとしては9勝を挙げた。その快進撃を支えたのが、高いパーオン率、ショットの正確性。五輪銀メダルは、当時、世界屈指のショットメーカーであることの証明でもあった。  稲見 ショットメーカーで、アイアンが得意で生きていたのに、そのアイアンが崩れちゃって…。ショットが良くないとスコアを出せないので厳しいかなと。  「復調のきっかけが見えているか」と問われても「まだ見えていないです」と即答した。何よりも「何を直したらいいか、分からない感じになっている。いろいろ、やっちゃっているので」と、ポツリとつぶやいた。努力したくても、どこに向かい、何に重点を置いて努力すればいいのか、見えなくなっている様子だ。  ただ、光明が全く見いだせていないわけではない。前週のNEC軽井沢72に出場するまで、3週間、試合出場を控えたことで、取り戻したものもあった。  稲見 体のために休みました。体重とか、体の問題は、だいぶなくなってきたので。やせちゃっていたけど、それが戻りました。3週間で3キロ。おしりとか、太ももあたりが細くなっちゃっていたので。重りは持たずに、自重だけでトレーニングして。3週間、トレーナーさんと体を作り直しました。  「復活への段階を踏んでいる感触はありますか」と問われると、ゆっくりと首をかしげ、ニヤリと笑った。復活への道のりを歩んでいる実感があるのか、ないのか-。「それはご自身しか分からないので、どうなんですか」と、たずねられると「ご自身が分からないから、こうなっているんですよ」と話し、苦笑した。今はまだ、前に進んでいる実感すらないようだ。ただ、人一倍、ゴルフと向き合っているのは、賞金女王となった4年前も今も変わらない。出場105人の中で最下位となり、名実ともにどん底。ここからの復活劇を、誰よりも稲見自身が信じている。【高田文太】  

日刊スポーツ
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