金沢、観測史上最大の雨 半日で331ミリ、月間雨量の1.8倍 加賀に線状降水帯、競馬場「水没」

  ●金沢市に災害救助法適用

 石川県内は7日、未明に加賀地方に線状降水帯が発生し、金沢市を中心に非常に激しい雨が降った。午後1時10分までの12時間に観測史上最大となる331・5ミリの雨を記録し、8月の平年月間雨量(179・3ミリ)の1・8倍に達した。同市の金沢競馬場は厩舎(きゅうしゃ)など広い範囲が「水没」。5市町で計7万5千世帯以上に避難指示が出された。県は同日、金沢市への災害救助法適用を決定した。けが人は確認されていない。

  ●けが人なし

 6日午後9時の降り始めから7日午後4時までの各地の降水量は金沢342ミリ、医王山243・5ミリ、宝達志水211ミリ、かほく195ミリなど。金沢では3時間、6時間、24時間、48時間、72時間の降水量も観測史上最大を更新した。このほか各地の1時間雨量は医王山70ミリ、金沢67・5ミリ、七尾48・5ミリ、門前21・5ミリ。

 県と気象庁は金沢、七尾、輪島、珠洲、津幡、志賀、穴水、能登の8市町に警戒レベル4に相当する土砂災害警戒情報を発表したが、7日夕までに全て解除した。志賀、穴水、能登を除く市町は一部住民に避難指示を出し、午後10時現在、金沢市の避難所1カ所に12人が身を寄せた。

 金沢市の金沢競馬場は厩舎エリアをはじめ、レース場の一部を除いてほぼ水に漬かり、夜になっても水が引いていない。

 県によると、金沢市百坂町で住宅1棟が部分損壊し、5市町の160棟以上で浸水被害が生じた。床下浸水は能登町で155棟確認された。金沢市と羽咋市では倒木が原因で停電が発生。北陸電力送配電によると、金沢市では堅田町、深谷町などの計約100戸が一時停電した。

 金沢市では大浦小周辺が冠水し、避難者らが取り残されている。近くのこども園の園児らは消防隊がボートで救助した。要川、血ノ川、大宮川の準用河川3カ所が溢水(いっすい)したほか、道路33カ所が冠水し、土砂崩れが多発した。同市桂町の大徳川、津幡町竹橋の津幡川が氾濫し、能登では大雨に加え、高潮による冠水被害も出た。

 道路は国道8号の津幡町九折―小矢部市安楽寺間など複数の路線で通行止めの措置が取られた。

 JR七尾線、IRいしかわ鉄道小松―倶利伽羅間、のと鉄道七尾―和倉温泉間は終日運休。北陸新幹線は午前中に金沢―長野間で運転を見合わせ、午後に全線が再開した。上下線31本が運休し、28本に遅れが出て2万8千人に影響した。JR七尾線は8日、線路点検のため午前11時ごろまで運転を見合わせる。

 気象庁によると、8日の県内も大気の状態が非常に不安定で、引き続き警戒が必要としている。8日午後6時までの24時間予想降水量は多い所で加賀30ミリ、能登20ミリとなっている。

 金沢地方気象台によると、線状降水帯が石川県内で発生するのは、顕著な大雨に関する気象情報の運用を始めて以降、2023年7月12日、24年9月21日(奥能登豪雨)に続いて3回目。災害救助法が適用される金沢市では、避難所開設や建物の応急修繕などの費用を国と県が負担する。

  ●富山で2人重症

 富山県では黒部市で自宅屋根の雨漏り修繕をしていた男性(81)が転落し、頭部を骨折して意識不明の重体となった。高岡市では冠水したアンダーパスで、水没した車から女性(81)が救助されたが重症。自転車で転倒した50代女性も軽いけがをした。

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