教え子に「おしおき」称する性行為、元高校講師の男性に1100万円の賠償命令 札幌地裁
北海道にある私立高校の講師をしていた男性(50代)から在学中に性被害を受けたとして、20代の女性が男性と学校法人を相手取り、約1980万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2月20日、札幌地裁であった。
守山修生裁判長は、原告の性的自己決定権が侵害されたと認めて、男性に1100万円の支払いを命じた。一方、学校法人に対する請求は棄却した。
●「断ればどうなるかわからない」
判決によると、当時15歳だった女性は、男性が担当する授業をきっかけに話すようになった。男性は女性を車で自宅まで送るようになり、車内でキスをしたり、身体を触ったりすることがあった。
女性が16歳になると、男性は校外で会うよう誘い、ホテルで性行為に及んだ。その後も関係は続き、男性は父親のようにふるまいながら、「おしおき」などと称して性行為を求めた。
さらに、女性に自分の排泄物を食べさせたり、身体に「奴隷」と落書きして撮影する行為もあったという。
女性は訴状などで「拒否すれば高校生活に支障をきたす恐れがある」「密室で2人きりの状況で断ればどうなるかわからない」と考え、行為に応じざるを得なかったと主張した。
こうした行為は、女性が高校を卒業した後、18歳まで続いた。女性は重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)や解離性同一性障害と診断され、現在も日常生活に支障が出ているという。
女性は2022年7月、教員という立場を利用した不法行為によって精神的被害を受けたとして、男性と学校法人を札幌地裁に提訴した。
●「父親のように振る舞うことで優位に立った」
男性側は、行為はいずれも合意に基づく交際関係の中でおこなわれたもので違法性はないと反論。また、150万円で和解が成立しているとして請求棄却を求めた。
守山裁判長は、当時未成年だった原告女性の判断能力の未熟さや自己肯定感の低さに言及。男性が家族関係について悩んでいた原告女性に同調し、父親のようにふるまうことで「自らが優位に立つ関係を形成し、性的要求に応じさせていた」と断じ、不法行為の成立を認めた。
さらに、女性が現在も苦しむPTSDについて、「排泄物を食べさせられた行為を含む性的行為がトラウマ体験となって引き起こされた」と認定した。
一方、学校法人の使用者責任については「性的行為は放課後や授業のない日に校外でおこなわれており、職務の範囲内や事業と密接に関連するものとはいえない」として否定した。
なお、男性側が主張した和解についても、原告が最終的な契約書に署名や押印をしていないことなどから、「和解契約は成立していない」と退けた。
●「つらすぎて自分の意識を遠ざけた」
この日の判決後、原告代理人は、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。
代理人の小竹広子弁護士によると、原告女性は裁判の中で、被害について次のように述べていたという。
「つらすぎて、その最中は、なるべく何も感じないように、自分の意識を遠ざけて感じない状態になろうとしました。自分の心の中から、自分の意識そのものが追い出されてしまうような感覚がありました」
●「子どもに手を出してはダメだとわかってほしい」
会見では、女性が電話で判決への受け止めを語った。
「お金じゃなくて、ちゃんと誠心誠意、謝罪がほしかったのですが、最後まで謝罪がなく、受け止めきれないていないです。
私は当時15歳で、何もわかりませんでした。裁判で男性がわざと父親のようにふるまっていたと知りましたが、良い人と悪い人の区別もつきませんでした。
もう二度とこんなことが起きないようにと思い、裁判を起こしました。子どもは何もわからないのですから、手を出してはダメだとわかってほしいです」
この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。