なぜ若者は正月休み明けに仕事を辞めたくなるのか? 危ない「年末年始の過ごし方」

 「なぜこんなに仕事に行きたくないんだ……」  年末年始の連休が明けたあと、多くのビジネスパーソンがこうつぶやく。デジタルマーケティング事業者NEXER(東京都豊島区)が運営するキャリアバイブルの調査によれば、全国の回答者の75.1%が休み明けに出勤するのが億劫(おっくう)になった経験があるという。休暇後の億劫さから、転職を考えるきっかけとなったという声まであるのだ。 【画像】体内時計がズレてしまう  これほど多くの人が連休明けに苦しむのはなぜか。実は年末年始の過ごし方に大きな原因がある。  そこで今回は、連休明けに「辞めたい」と思うような過ごし方について解説する。本記事を読むことで、正しい休暇の過ごし方、連休後の職場復帰をスムーズにするための具体的な方法を知ることができるだろう。連休明けの仕事復帰に悩むビジネスパーソンは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

 大型連休明けに仕事をしたくなくなる「年末年始の過ごし方」として3つの特徴が挙げられる。 1. 生活リズムの乱れ 2. 過度なリフレッシュ 3. 新年の目標設定の欠如  それでは、一つ一つ解説していこう。  1つ目は「生活リズムの乱れ」である。年末年始の長期休暇中に生活リズムを崩すと、連休明けに大きな影響を与える。  NEXERの調査では、75.1%の回答者が「休み明けに出勤するのが億劫になった経験がある」と回答した。理由を見てみると、  「休暇に慣れてしまい生活リズムが崩れる」(20代・女性)  「休みが長いと朝起きるのが億劫になる」(30代・男性)  こういった声が目立つ。  普段よりも遅くまで起きる習慣や、不摂生な生活が続くと、体内時計がズレる。そして出勤時の疲労感や集中力の低下を招く。身体的な疲労感が増すと、仕事へのモチベーションを落とすこともあるのだ。

 2つ目は「過度なリフレッシュ」だ。  驚いたことに、大型連休中にリフレッシュを目的とした活動に没頭しすぎることも、連休明けに仕事をしたくなくなる一因となる。  「せっかくの休みなんだから、思いっきり楽しみたい」  そう考えて、連日外出したり、夜遅くまで遊んだりする人がいる。気持ちはよくわかる。  私も過去に経験がある。家族4人で12月30日から1月2日までディズニーリゾートへ出かけたことがあった。カウントダウンイベントに参加できたのは、とても楽しい思い出となった。  しかしその後の反動は大きかった。  連休最終日には身体がクタクタだ。そして翌日の仕事始めには、まるで燃え尽きたかのような虚無感に襲われた。楽しい思い出と引き換えに、大きな代償を払ったのである。  同調査では、多くの回答者が「徹底的にリフレッシュする」や「自分のメンタルを充実させるためにシフトチェンジ」といった多様なリフレッシュ方法を実践していた。  しかし過度なリフレッシュ活動は精神的・身体的な疲労を蓄積させる可能性がある。バランスの取れた過ごし方が求められているのだ。


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 最後に「新年の目標設定の欠如」について解説しよう。  年末年始は新たな目標を設定し、自己成長を図る絶好の機会だ。自己研さんを怠るとこれからの時代、生き残っていけない。  にもかかわらず、明確な目標設定がないまま連休を過ごすと、新年のスタートに対する方向性が見えず、仕事への意欲が低下する恐れがある。  例えばこんな人がいた。  ある30代の営業パーソンは、年末年始をただ漫然と過ごした。テレビを見て、ゲームをして、寝て、また起きて……の繰り返し。新年の目標など一切考えなかった。  連休明け、彼は職場で周りの同僚たちが「今年は資格を取る」「新規顧客を50社開拓する」などと意気込んでいる姿を見た。そのとき彼は、  「自分には何もない」  とがくぜんとしたのだ。目標がないまま仕事を続けることの虚しさ。それが彼を「転職したい」という気持ちへと駆り立てた。  新年の目標を明確に立てよう。そうすることで、休み明けの業務に対する意欲も高まる。結果として転職を考える必要性も減少するはずだ。

 ここで若者特有の傾向についても触れておきたい。  最近の若者は、特に連休明けの仕事復帰に強い抵抗を感じる傾向がある。その背景には、いくつかの要因が考えられる。  まず、SNSの影響だ。  連休中、友人や知人がSNSに投稿する楽しそうな写真や動画を見続ける。するとどうなるか。自分も同じように楽しまなければ損だ、という気持ちになる。  「みんな海外旅行に行ってる……」  「温泉でのんびりしてる人ばかりだ……」  こういった投稿を見るたび、焦りが生まれる。そして無理にでも予定を詰め込もうとする。その結果、休暇なのに休めない。疲れが溜まるだけだ。  また、若者は「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する傾向が強い。連休という貴重な時間を、いかに効率よく楽しむか。そればかりを考えてしまう。  「この連休で、できるだけ多くの経験をしたい」  そう思って予定を詰め込みすぎる。すると当然、疲労が蓄積する。連休明けには燃え尽きてしまうのだ。

ITmedia ビジネスオンライン
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