このままでは景気後退の恐れも… ドイツ銀行がAIバブルを懸念

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なんでもかんでもAIな今日このごろ。Nvidia(エヌビディア)によるOpenAIへの1000億ドル(約15兆円)投資や、OpenAIやソフトバンクによる5000億ドル(約75兆円)の巨大データセンター建設プロジェクトなど、AI市場には日々莫大な資金が流れこんでいます。

その裏には、今の投資が後々何倍にもなって返ってくるからという期待があるわけです。が、それ、本当に返ってくる?

ドイツ銀行(Deutsche Bank)が、AI市場最新レポートを公開しました。AI経済の行方は先行き不安…かも。

Nvidiaの設備投資が鍵

Fortuneが、ドイツ銀行のFX戦略を担うGeorge Saravelos氏のメモを報道しました。

Saravelos氏は、AI分野への投資を「parabolic(パラボリック)」だと指摘。経済市場におけるパラボリックとは「転換期」を意味し、この場合は強気の上昇傾向が変わることを意味しています。

Saravelos氏は、AI分野が現在アメリカ経済を支えており、AI技術関連の投資なしでは、アメリカの年内景気後退もあると説明。『Wall Street Journal』紙が、企業のAI関連設備投資額が、アメリカ国民全体の消費額よりもアメリカ経済成長に影響していると報じていますが、AI分野があまりにも巨大であることから、これ1つがこければアメリカ経済全体に大きな影響を与えるかもしれません。

Saravelos氏は、アメリカ経済成長の大きなウェイトを担う存在としてNvidiaを名指し。Nvidiaが経済全体の成長を支えるには、Nvidia自身の成長が不可欠。これには設備投資がキープされねばならないのですが、それは非常に難しいと指摘しています。

AIバブルへの懸念を示す声は他にもあり、資産運用会社ApolloのTorsten Sløk氏は、 S&P500への集中が非常に高まっており、株式投資家たちはAIに過剰な期待をしすぎていると指摘。

コンサルファームBain & Companyのレポートでは、AIの計算能力が、ムーアの法則の2倍の速さで2030年までに成長できれば、年間2兆ドル(約300兆円)というコストでもAI要求を満たすことができると計算。が、AIに求められるそのスピードを満たすには、今のところ8000億ドル(約120兆円)足りていません。

AIバブルという言葉を昨今よく耳にしますが、それが本当に泡であればいつかは弾けるのかもしれません。

AIバブルのXデー、果たしてやってくるのか…。

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