【高松宮記念杯競輪予想】“ブレない太田”に寺崎はどう挑む? 決勝戦の分岐点を読み解く/ヤマコウ決勝展望

KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 第76回高松宮記念杯競輪GI、決勝メンバーが揃いました。ライン構成は以下の通りです。

②深谷知広(静岡・96期)ー⑤郡司浩平(神奈川・99期)ー⑧松谷秀幸(神奈川・96期)④太田海也(岡山・121期)ー③清水裕友(山口・105期)⑥末木浩二(山梨・109期)

⑨寺崎浩平(福井・117期)ー⑦脇本雄太(福井・94期)ー①古性優作(大阪・100期)

 準決勝はどの攻防も迫力があり、面白いレースが続きました。ただ、12RはGIの準決勝にふさわしいレースとは思えませんでした。競輪選手はルールに則った走りが大前提の前にグレードでの品格も大切にして欲しいですね。品格や常識を持って挑まないと、それらを縛るルールが厳格化し、ますますレースの自由度が失われていきます。その中で「『故意』に対戦相手を失格させたり落車させたりしないこと」もマナーです。相手にも家族や生活があり、それは選手同士でワザとやる事は控えましょう言うことです。今や主流となったカンナ削りもその昔は禁じ手とされていました。『故意』に失格を誘発する行為だからです。

準決勝12Rゴール前(写真提供:チャリロト)

 例えば外競り。外並走の選手が、内側の選手を押し込んで前者の後輪に差し込む行為(前の選手が外線を外していなければ失格)は、内側の選手が当たったら差し込んだ選手は転びます。当たるに当たれない状況を作って踏み勝つ外競りもその部類に入ります。そもそもこなせる選手はそんな強引なことをしません。「あなたが当たったら私が転んで失格になりますよ」と、ルールの盲点を突いているのであり、仕事仲間を『故意』に落車や失格させる行為に繋がります。一流の選手ほど持って欲しい矜持だと思います。

 ファンと選手の違いはそこだと思います。私はOBの矜持を持ち続けたいし、そこが予想と解説の違いだとも思います。「こうあるべき論」は私は好きではありませんが違う意味での「勝てば何でもいい」は選手生命を縮めてしまうので、そこはしっかり伝えたいと思います。ファンのたしなみとして思っていただければさらに競輪が楽しめると思います。

郡司浩平(写真提供:チャリロト)

 さて、決勝戦。太田の走りにブレがないので寺崎かどう出るかですね。コメントや取材をする限り「自分も狙える自力」と私は読みました。それは早くて打鐘の仕掛けです。寺崎は、一次予選1で前受けして7番手捲り不発で6着。その後、走りを変えて2、2、2着で決勝に駒を進めます。対して太田は先行に対して全くブレていません。そこが大一番での差になって出ると思います。後は脇本が混戦を得意とせず、揉まれない展開を作るにはカマシしかないと思います。

S.⑨⑦① ②⑤⑧ ④③ ⑥

 2周の攻防で、⑨寺崎が突っ張れば近畿で決まるでしょう。

寺崎浩平(写真提供:チャリロト)

7=1ー586

 ただ、⑨寺崎もタイトルは獲りたいし、いつまでも引っ張るだけの選手ではありません。その背景も④太田が先行、カマす⑨寺崎になるという読みにつながります。④太田が先行したらどんな展開になるでしょう。

    ←⑨⑦①H.④③ ⑥ ②⑤⑧

 ⑨寺崎が中団で②深谷のところに粘ったら、それこそ近畿の並びが崩れてしまうので、全引きで前団の様子を伺うでしょう。そうすると③清水に展開が向きますね。

清水裕友(写真提供:チャリロト)

3ー251ー2516

 ①古性は今回の高松宮記念杯はどうしても獲りたいと思っているでしょうが、任せて勝機を掴むので苦しい展開も予想されます。さて、どんな決勝になるでしょうか。

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