ナチス将校が戦時中に盗んだエッチなモザイク画、ポンペイに返還

(CNN)  第2次世界大戦中にナチスの大尉によってイタリアのポンペイ遺跡から盗み出されたエロチックなモザイク画が今月15日、ようやく返還された。

小さなモザイク画には寝椅子にもたれる男性と、男性に付き添う半裸姿の女性が描かれている。ポンペイ考古学公園の声明によると、ローマ時代の邸宅で寝室の床を飾っていた可能性があるという。

ポンペイは西暦79年のベスビオ火山噴火で壊滅的な被害を受け、建物や数千人の住民とともに、このモザイク画も火山灰や軽石の層の下に埋もれた。

この覆いのおかげで、1600年あまりが経過した現在もポンペイの街は完璧に保存されており、ローマ時代の日常生活を前例のない形で示す世界屈指の考古学遺跡となっている。

モザイク画はローマ時代の邸宅の床を飾っていた可能性がある/MIC/Archaeological Park of Pompei

例えば、このモザイク画は紀元前1世紀後半から西暦1世紀にかけての年代に作られたものだが、今なお色鮮やかで、タイルはまったく無傷だ。

第2次大戦までに、ポンペイの多くの地域はすでに発掘されていた。考古学公園の説明によると、このモザイク画を盗んだドイツ国防軍の大尉は戦時中、イタリアでドイツ軍の補給線を監督していた人物だった。

大尉はモザイク画を氏名非公表のドイツ人に譲り、その相続人がイタリア警察に返還方法を問い合わせたという。

イタリア警察で文化財保護を担う特別チームがモザイク画の来歴を調査したところ、発見時の経緯に関して一部の情報が欠けていたものの、ベスビオ火山噴火で破壊された地域に由来することが暫定的に確認された。

ポンペイ考古学公園のディレクター、ガブリエル・ズクトリーゲル氏は声明で、「略奪された品が戻るたびに傷が癒える。保護チームの尽力に感謝したい。傷を受けるのは作品の物質的な価値ではなく、歴史的な価値であり、その価値は遺物の違法取引によって著しく損われる」と指摘した。

ポンペイでは以前にもエロチックな美術品が見つかっている。2024年10月には、精緻で時にきわどいフレスコ画で埋め尽くされた小さな家を考古学者が発見。23年1月には猥雑なフレスコ画で覆われた別の家が20年間の閉鎖を経て再公開され、18年にはギリシャ神話「レダと白鳥」の官能的な場面を描くフレスコ画も発見された。

原文タイトル:Erotic mosaic, stolen by German officer in World War II, returned to Pompeii(抄訳)

関連記事: