14歳が「1万倍の重さに耐える折り紙」構造を発見、2万5千ドル獲得(ナゾロジー)|dメニューニュース

自重の1万倍に耐える折り紙構造を発見。タクシーが4000頭以上の象を乗せられるのと同じ比率。イメージ / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

子どものころ、折り紙でよく遊んだかもしれません。

もし、その折り紙を物理学の観点で極めるとどうなるでしょうか。

アメリカ・ニューヨーク市の中学生マイルズ・ウー(Miles Wu)さん(14歳)は、折り紙の幾何学的な折り方である「ミウラ折り(Miura-ori)」を物理学の視点から詳しく調べ、自重の1万倍を超える重さにも耐え得る構造を発見しました。

彼とその研究は、全米最大級の中学生向けSTEMコンテスト「Thermo Fisher Scientific Junior Innovators Challenge」で最優秀賞を受賞し、2万5千ドルの賞金を獲得しています。

  • 14歳少年が「ミウラ折り」で災害シェルターの課題に挑む
  • 「自重の1万倍」の折り紙構造を発見し科学賞を受賞

14歳少年が「ミウラ折り」で災害シェルターの課題に挑む

ウーさんが目を向けたのは、山火事やハリケーンなどの自然災害です。

ニュースで被災地の様子を知るうちに、「現地で使われる仮設テントやシェルターには課題が多いのではないか」と考えるようになりました。

災害用のシェルターには、少なくとも3つの条件が求められます。

1つ目は「強くて壊れにくいこと」、2つ目は「小さく畳めて運びやすいこと」、3つ目は「現場ですぐに展開できること」です。

ところが現実には、この3つを同時に満たす構造はなかなか見つかりません。

そこで彼が目を付けたのが「ミウラ折り」です。

ミウラ折りは、同じ形の平行四辺形を格子状につないだように折り筋を入れることで、シート全体を蛇腹のように一気に畳んだり広げたりできる折り方です。

薄く平らに畳める一方で、一度広げると凸凹のある立体的な面が現れます。

この性質から、実際に人工衛星の太陽電池パネルの収納・展開などにも利用されています。

ウーさんは、子どものころから趣味で折り紙を続けてきましたが、最近は自分で折り方を設計するようになっていました。

その延長で、「この折り方の形そのものに、力学的な強さが隠れているのではないか」と考えたのです。

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彼はミウラ折りの形を決めるパラメータに注目しました。

具体的には、平行四辺形の幅(パネルの横方向の大きさ)、平行四辺形の角度、折り上がりの高さ、使用する紙の種類といった要素を組み合わせて条件を変え、合計54種類のミウラ折り構造を作りました。

そしてそれぞれについて耐荷重試験を行っています。

では、その地道なテストから、どんな結果が得られたのでしょうか。

「自重の1万倍」の折り紙構造を発見し科学賞を受賞

実験の結果、「小さなパネル」や「より鋭い角度」が、確かに構造の強さを高める傾向があることが分かりました。

一方で、材料についてはウーさんの予想とは異なる結果が出ました。

もっとも「重さの割に強い」成績を示したのは、厚紙ではなく、一般的なコピー用紙だったのです。

ここで重要なのは、「どれだけ重さに耐えられるか」だけでなく、「自分の重さに対して、どれだけ支えられるか」という指標です。

災害現場で扱うシェルターでは、「強い」ことに加え、「軽くて持ち運びやすい」ことが非常に重要になります。

その意味で、コピー用紙のような薄くて軽い材料が、ミウラ折りのような折り構造と組み合わさることで、驚くほど効率の良い力学構造を生み出す可能性が示されました。

ウーさんによると、最終的にもっとも優れた条件のミウラ折り構造は、自重の1万倍を超えるほどでした。

彼は「これは、ニューヨーク市のタクシーが4000頭以上の象を乗せられるのと同等の比率だ」とコメントしています。

この研究は全米最大級の中学生向けSTEMコンテスト「Thermo Fisher Scientific Junior Innovators Challenge」で最優秀賞を受賞しました。

ウーさん自身は、獲得した2万5千ドルの賞金を将来の大学進学の資金に充てる予定だと話しています。

そして、今回の結果を踏まえ、「実際に使えるミウラ折りシェルターの試作」に挑戦したいと語っています。

紙で得られた知見が、金属や樹脂シートなど他の素材にも応用できれば、災害現場に持ち込める強くて軽いシェルターの実現に一歩近づくかもしれません。

折り紙は、ただの遊びではなく、「形」そのものが力を生み出す立派な工学の道具になり得ます。

14歳の折り紙研究は、身近な一枚の紙が、未来の防災技術につながることを明らかにしたのです。

参考文献

14-Year-Old Wins Prize For Origami That Can Hold 10,000 Times Its Own Weighthttps://www.sciencealert.com/14-year-old-wins-prize-for-origami-that-can-hold-10000-times-its-own-weight

14-year-old Combines Origami and Physics to Optimize Foldable Structures for Disaster Relief Shelters; Wins $25,000 Top Award at Thermo Fisher Scientific Junior Innovators Challengehttps://www.societyforscience.org/press-release/thermo-fisher-jic-top-awards-2025/

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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