【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算シーズン入りも、物色の基本は「サナエノミクス2.0」に

RAKAN RICERCA 取締役 会長 村瀬智一
「決算シーズン入りも、物色の基本は『サナエノミクス2.0』に」 ●「高市」銘柄への物色意欲は根強い

 日経平均株価は21日の高市首相誕生時につけた4万9945円をピークに、いったん「高市トレード」を巻き戻す動きをみせたが、週末24日は658円高と大幅に反発し、史上最高値奪回を視野に捉えた。同日午後、高市首相が所信表明演説を行った。これまで公約などで明らかになっていた内容とはいえ、改めて高市政権への政策期待が高まることで、相場の先高感は強まりやすいだろう。

 来週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀の金融政策決定会合、日米首脳会談、米中首脳会談とイベントが盛り沢山である。また、東京市場でも企業決算の発表が本格化する。決算を手掛かりとした物色が中心になる可能性はあるものの、基本的には「高市トレード」から「サナエノミクス2.0」にギアを上げた物色が中心になりそうである。高市首相に対する海外の評価は高く、海外マネーの継続的な流入も期待されることになろう。 ●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆三機工業 <1961> [東証P]

三井系の設備工事大手。同社のデータセンター向け空調システムは、高密度サーバを搭載したラックの真下に床下局所空調機を設置し、アンビエント空調との併用運転で効率よく冷却を行う。半導体工場向けでは、空調設備や熱源設備、解析・分析技術、クリーンルーム構築など様々な分野に関わっている。株価は9月12日につけた上場来高値5430円をピークに調整していたが、10月3日の4700円を直近安値に、上向きで推移する75日移動平均線を支持線として反発している。直近で25日線を上抜き、上場来高値を射程に捉えつつある。

◆日本アビオニクス <6946> [東証S]

自衛隊向け 防衛装備品が主力。航空自衛隊の防空指揮管制システムである第一次「バッジシステム(自動警戒管制組織)」の開発を主導し、第二次バッジシステム、さらに後継の「ジャッジシステム」の開発にも参画。陸上防衛では対空戦闘指揮システムや指揮統制表示装置、海上防衛では護衛艦や潜水艦用の情報表示システムなどに同社の技術が生かされている。また、赤外線サーモグラフィを軸に、橋梁など老朽化したインフラの保守や産業向け各種監視ソリューションも手掛ける。株価は8月5日の年初来高値5420円をピークに調整を見せているが、上向きで推移する13週線を挟んだトレンドを形成している。

◆日本特殊陶業 <5334> [東証P]

自動車用プラグ、排気系センサーで世界首位。半導体の保護に欠かせない半導体パッケージなどの半導体関連部品も展開する。仕上げ加工まで一貫して手掛ける「静電チャック」は、シリコンウエハーの表面温度を均一に保つ独自技術により半導体の品質を向上させる。株価は上向きで推移する13週線を支持線とした強いトレンドを形成。

◆ジェイテクト <6473> [東証P]

ベアリング大手。2026年1月から中国で半導体ウエハーに回路を形成するエッチングや、成膜工程などで使われるドライポンプ(液体を使用せずに空気を利用して真空環境を作り出す)用ベアリングの生産を始める。株価は9月24日につけた1562円をピークに調整をみせていたが、上向きで推移する13週線までの調整を経て、再動意をみせてきている。

◆積水化学工業 <4204> [東証P]

住宅、環境・ライフライン、高機能樹脂が3本柱。老朽化した上下水道管を掘り起こさずに内側から補修・更新する「SPR工法」や自動車向け合わせガラス用中間膜で強み。同社はNTTデータなどと、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を建物外壁に設置するための改良工法の開発を10月から開始した。アルミ押出形材を用いた固定金物の採用により、大量生産と軽量性を両立させるほか、壁面の施工時に発生しやすい同電池の「しわ・よれ」を容易に調整する工法も検討し、意匠性を確保する。株価は9月19日、10月7日の両高値でダブルトップを形成後に急落したが、上向きで推移する75日線水準での攻防を経てリバウンドの勢いを強めてきている。 (2025年10月24日 記) 株探ニュース

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