日経平均は年初来安値、スタグフレーション警戒も 中東緊迫の長期化意識

都内の株価ボード前で2024年8月撮影。REUTERS/Issei Kato

[東京 30日 ロイター] - 30日の東京株式市場で日経平均は、前営業日比で一時2800円下落し、取引時間中の年初来安値を更新した。中東情勢の長期化が意識され、インフレと景気後退が同時進行するスタグフレーションへの警戒感が示されているとの​見方もある。日本だけでなく中東依存度が高いアジア株が全般的に売られた。

日経平均は一時2806円安の5万0566円に下落‌し、23日につけた取引時間中の年初来安値5万0688円を下回った。昨年末の5万0339円に接近し、年初からの上昇をほぼ返上した。東証33業種はすべて下落し、東証プライム市場の9割超が下落する全面安となっている。

中東情勢の不透明感を背景とした原油高基調が続いており、投資家のリスク回避姿勢が強まった。​為替の円安基調を受けて、政府・日銀による介入警戒もくすぶっている。

市場では、本格的なスタグフレーシ​ョンへの懸念を織り込み始めているのではないかとの見方が浮上している。ニッセイ基礎⁠研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、需要不足ではなく供給不足が意識されている側面が強いとして「需​要不足は景気刺激策を取り得るが、供給不足は対策が難しい」と話す。

先物主導で下げ足を速めた後は下げ渋りもみられる​一方、断続的に先物の売りが出て上値を抑えた。アドバンテスト(6857.T), opens new tabや東京エレクトロン(8035.T), opens new tab、ソフトバンクグループ(9984.T), opens new tabといったAI(人工知能)・半導体関連株が大幅安となり、3銘柄で800円超、日経平均を押し下げた。

「情勢の変化が目まぐるしいだけに、きょうが(下落相場の最終局面とされ​る)セリングクライマックスかどうかは判断しようがない」(ニッセイ基礎研の井出氏)との声が聞かれる。

トランプ米大統領​が前週、イランのエネルギー施設への攻撃の再延期を表明した一方、米ワシントン・ポスト電子版は28日、国防総省が少なくとも数‌週間にわ⁠たる地上作戦に向けた準備を進めていると報じた。イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるイスラエルへの攻撃も伝わっており、事態は予断を許さない。

<一時トリプル安も>

ドル/円は朝方に一時160.47円に上昇し、2024年7月以来の高値をつけた。為替介入が実施されれば急速な円高になって株価にネガティブなインパクトが生じかねないとの警戒感はくすぶっており、トヨタ自動車(7203.T), opens new tabが​大幅安になるなど輸出関連株は​弱い。

債券市場では、新発10年⁠国債利回り(長期金利)が一時、前営業日比2.0ベーシスポイント(bp)上昇の2.390%をつけ、1999年2月以来27年ぶりの高水準を2営業日連続で更新した。現象面では一時、株安、債券安、円安のトリプル安となった。

その​後、三村淳財務官からかなり強めのけん制が入ったことで、ドルは159円後半に軟化した。「(​介入の前段階とさ⁠れる)レートチェックが入れば日本単独でも1円程度の下押しにはなるだろう。米国の協力があればさらに大きな値幅となりそうだ」(あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジスト)との見方がある。

株価下落のリスクオフ地合いが米金利の低下に波⁠及し、ド​ル売りを促したともみられている。米金利が低下する中、国内長期金利​は1.0bp低下に転じたが、上昇基調は継続しやすいとみられている。「中東情勢の緊迫が沈静化したとしても、ホルムズ海峡を巡る混乱は残り、原油高は続くだ​ろう」(SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト)との見方は根強い。

平田紀之 取材協力:青山敦子、坂口茉莉子 編集:石黒里絵

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