触手をうねうね動かして人間の声や動作に応答するAI搭載触手ロボット「ショゴス・ミニ」が登場

ハードウェア

まるでタコのような触手をうねうね動かして、人間の声や動作に反応して意思表示するAI搭載触手ロボット「Shoggoth Mini(ショゴス・ミニ)」を、起業家でエンジニアのマチュー・ル・コーショワ氏が開発しました。

Shoggoth Mini

https://www.matthieulc.com/posts/shoggoth-mini

ル・コーショワ氏は2025年に、Appleの研究者が発表した「デスクライトのようなロボットが首を動かして意思表示するシステムの論文」とタコの触手ようなロボットである「SpiRobs」を見たことで、触手を使って意思表示するロボットの開発に乗り出しました。

まずはSpiRobsの制御を検証する台座の制作を行ったところ、材料切れの関係で途中からカラーリングが変わったこともあり、意外にもかわいらしさと不気味さがいい感じに混ざった見た目となりました。ルームメイトがマーカーで描き入れた目も気に入ったため、このデザインを基に最終的なデザインを作ったとのこと。

ロボットの制御にはGPT-4oのリアルタイムAPIを活用しており、ユーザーの音声に反応するだけでなく、動作を「ユーザーが手を振っている」「ユーザーの指が近くにある」といったテキストキューに変換して応答することも可能にしました。

クトゥルフ神話作品に登場する生命体ショゴスになぞらえた名称を付けられたショゴス・ミニがどのようなロボットになっているのかは、ル・コーショワ氏のブログに埋め込まれた動画を見るとよくわかります。

ショゴス・ミニに向かって「私の声が聞こえる?」と尋ねます。

するとショゴス・ミニは触手を前後にブンブンと振り、「はい」の意思を伝えてくれました。

「あなたはロボットですか?」と質問してみます。

すると、触手を横に振って「いいえ」の意思を伝えます。

「じゃあ、あなたはショゴスですか?」と聞くと、触手を振って「はい」と回答しました。

ショゴス・ミニに向かって手を振ると、触手を振って応じてくれます。

ハイタッチすることも可能。

メガネを差し出して「このメガネを持てますか?」と問いかけてみます。

触手を丸めて、ぎゅっと抱えるようにメガネを保持。

「離してくれますか?」と聞けば、ちゃんとメガネを離してくれます。

ショゴス・ミニが触手でユーザーの手につかまると、そのまま持ち上げられます。

指を差し出すと追いかけるように触手を動かし、まるでペットと触れ合っているような気分。

ところが、ショゴス・ミニに「人間は好きですか?」と聞いてみたところ、「はい」の返答までにやや間が空きました。

ル・コーショワ氏は、開発を進めるにつれてショゴス・ミニの表現は豊かになったものの、生きている感覚が薄れてきたことに気付いたとのこと。開発当初はショゴス・ミニの動きに驚かされ、その意図を解釈したり推測したりする必要があったものの、ロボットの動作が理解できるようになると予測との誤差が減りました。その結果、予想外の動作に驚いたり不思議に思ったりすることがなくなり、生き物らしくなくなったのではないかと考えられます。 ル・コーショワ氏は、「知覚される『生きている』という感覚は、予測不可能性やある種の不透明性に依存します。生体システムは混沌(こんとん)とした高次元の世界を通りますが、ショゴス・ミニはそうではありません。ここで疑問が浮かび上がります。私たちは本当に生きていると感じられるロボットを作りたいのでしょうか?それとも、表現力の豊かさを超えたどこかで、システムがあまりにも主体的になりすぎて予測不可能になり、人間のそばで快適に過ごせなくなる地点があるのでしょうか?」と述べました。

ショゴス・ミニのソースコードやハードウェアの設計図などは、GitHubで公開されています。

GitHub - mlecauchois/shoggoth-mini

https://github.com/mlecauchois/shoggoth-mini

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