美形にコンセプトカーの面影 マツダ・アテンザ/6を中古で(1) 充足感生むハードをおさらい

上質な中古のサルーンと聞いて、真っ先に思い浮かべるのはアウディBMWメルセデス・ベンツというドイツ銘柄かもしれない。しかし、優れた経済性と実用性を両立し、美しい容姿と充足度の高い走りを叶えた、マツダアテンザ/6も検討に値する。

2012年に発売された3代目アテンザは、見た目が一新されただけでなく、パワートレインも大幅に刷新。良好な中古車が、市場には豊富に流通している。

マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)

エンジンは、スカイアクティブを名乗る4気筒。ガソリンとディーゼルが用意され、高い圧縮比で高効率を実現していた。英国仕様では、2.2Lのディーゼルターボが狙い目。150psか175psの2種類が用意され、燃費は同時期のライバルを凌いだ。

2.0Lの自然吸気ガソリンは、基本構造をディーゼルターボと共有し、最高出力は145psか165psの2種類。強力な後者の方が扱いやすいが、高域ではややノイジーだ。

コンセプトカーをイメージさせるボディ

スタイリングは、2011年のコンセプトカー「雄(タケリ)」をイメージさせるもの。マツダが掲げるデザインテーマ「魂動(コドウ)」を、特徴的なフロントフェンダーなどで具現化。大きめのボディサイズも、豊かな造形表現へ貢献している。

基礎骨格となるアーキテクチャは、マツダCX-5から導入の始まったスカイアクティブ。サスペンションは、前がマクファーソンストラットで、後ろがマルチリンクを採用する。高張力鋼板を積極的に採用し、車重は比較的軽い。

マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)

2015年にマイナーチェンジ。装備が拡充され、内装はアップグレードし、タッチモニターも改良を受けている。2018年にも改良が加えられ、英国市場では2.5Lのガソリンターボが追加。日本では、後期型でアテンザから6へ名称変更された。

CX-5との共通点が多いインテリア

インテリアはCX-5との共通点が多く、ダッシュボードは、スタイリッシュなボディと不釣り合いに思えるかも。前期型は素材の特徴が薄く、上質感は際立つほどではないだろう。視覚的な印象では、フォルクスワーゲンパサートに届いていない。

とはいえ、機能的には文句なし。メーターは見やすく、エアコンのノブはタッチが好ましい。長距離移動を快適にこなせるよう、デザインされた結果だと見て取れる。

マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)

インフォテインメント・システムは少々扱いにくい。メニュー構造がわかりにくく、反応は遅い。音声操作にも対応するが、聞き取り精度は低いようだ。

長いホイールベースのおかげで、車内空間にはゆとりがある。クラス最大ではないものの、後席にも大人がゆったり座れる。荷室容量は、サルーンで483Lと充分以上。後席を倒すと1632Lの大空間を得られる、ステーションワゴンも訴求力は高い。

エントリーグレードでも装備は充実

画像 パサートを超えた楽しさ 3代目マツダ・アテンザ/6 SUVのCX-60 最新EVの6eも 全99枚


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英国仕様のトリムグレードは4段階あり、SEグレードでも17インチ・アルミホイールにヒルスタートアシスト、クルーズコントロールなど装備は充実。デジタルラジオに7.0インチのタッチモニター、レザー巻きのステアリングホイールなども備わる。

トップグレードのスポーツナビでは、アダプティブLEDヘッドライトに19インチ・アルミホイール、バックカメラ、ヒーター内蔵レザーシート、ヘッドアップ・ディスプレイ、ボーズ社製ステレオなどを獲得。これ以上、必要なものはないだろう。

マツダ6アテンザ) ステーションワゴン(2012〜2024年/英国仕様)

英国の場合、2000ポンド(約40万円)以下から3代目アテンザ/6は売られているが、走行距離は16万kmオーバー。長く付き合える状態の良い例には、6000ポンド(約119万円)程度は準備したい。

走りの印象は、マツダ・アテンザ/6を中古で(2)にて。

画像 パサートを超えた楽しさ 3代目マツダ・アテンザ/6 SUVのCX-60 最新EVの6eも 全99枚

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者 AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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